キッズシナリオとは、なにか
シナリオ・センターの新井です。
シナリオ・センターでは、2010年より「日本中の人にシナリオを書いてもらいたい」という企業理念を体現すべく、キッズシナリオを展開しています。キッズシナリオでは、ご依頼頂いた小学校や中学校にお邪魔して、シナリオの出前授業を実施しています。
本ブログでは、2021年度の実施報告をしていきます。
2021年の活動をまとめた動画も作ってみました。お時間のあるときに、是非!
キッズシナリオは、何のためにやっているのか?
とはいえ、聞きなれないキッズシナリオという、シナリオの出前授業。
いったい何のためにやっているのか、少しご説明をしたいと思います。
(そこら辺のことは、知っているよ!という方は、ここは飛ばして、2022年度の報告部分のみ、お読み頂ければと思います)
シナリオを書くためには、自分とは異なる考え方や、生き方、育ち方、そして性格や趣味、性別など、登場人物の数だけ、考える必要があります。
「人の立場で考えよう」といっても、なかなか難しいのが、現実です。だって、大人になっても、「お客様の立場で考えましょう」なんて、言われるくらいです。
人が、自分とは異なる人の立場になって考えるというのは、それだけ難しいことです。
もしも簡単にできるなら、きっと戦争も紛争も起きないでしょうし……
シナリオは、シナリオを書く時に必要な想像力、そしてその想像した世界を他の人に伝えるための表現力を、楽しみながら磨くことができます。
なので、キッズシナリオという形で、小学校や中学校に赴き、子どもたちがシナリオを通して、いろいろなことを考えるきっかけにしてもらえたらと思って活動しています。
勝手にやっていることなので、基本的に、手弁当での実施です。
詳細はこちらから:https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
毎年恒例の番町小学校でのキッズシナリオ
千代田区立番町小学校では、毎年5年生に向けてキッズシナリオを、実施しています。
2021年は、例年よりも早いタイミングで実施したいとのご要望で、6月に実施。
番町小学校では、キッズシナリオプログラムの中の、『シナリオを書いてみよう 編』を実施。
国語や総合の学習の一環で、シナリオをどうやって書けばいいのか、おもしろい物語の作り方のポイントはどこか、などプロの技術を紹介しながら、身につけてもらいます。
【目的】シナリオを書いて、物語の作り方を身につける
キャラクターを考えることで、さまざまな立場になってセリフやト書を書くコツをつかむ
【対象】小学5年生
【実施時間】2コマ(50分×2)
かならず、授業の時間を使って、シナリオを書いてもらいますが、シナリオを書くまでに、書きたくなる仕掛けがあるので、「シナリオが書けない……」という子は、ほとんどいません。
そういう意味では、作文を書いたり、小説を書いたり、エッセイを書いたりという授業よりも、子どもたちにはとっつきやすいかもしれません。
毎年恒例!というところも、大切なポイントです。
「5年生になったら、シナリオの授業がある」というプチ伝統が、番町小学校ではできつつあります。
こういう学校を、増やしていければいいなぁと思っています。
詳細:想像する楽しさ を子どもたちにキッズシナリオ @番町小学校2021
ipad片手に、描きたい世界を自由に表現する!@新渡戸文化小学校
子どもたちが、全員ipadを持って授業に参加している!
という光景は、初体験だったので、少しとまどったのが、私立新渡戸文化小学校で実施したキッズシナリオプログラムです。
新渡戸文化小学校は、いろいろと先進的な取組みをされていて、保護者の方もまきこんで、なにやらわくわくすることを、たくさんされています。
そんなに新渡戸文化小学校のデジタルクリエーションクラブという活動のなかで、キッズシナリオを3回にわたって実施しました。キャラクターの作り方から始まり、映像描写、ロングとアップ、発表会という形で連続して実施しました。
じつは、全4回での取組みというのは、初めての試みです。いろいろな初体験をさせてもらいました。
【目的】シナリオを書いて、物語の作り方を身につける
オリジナルの物語をipadで撮影する
撮影した作品を発表する
【対象目安】小学3~6年生
【実施時間 】全4回(50分×8)
■@ 新渡戸文化小学校 デジタルクリエーションクラブ/①キャラクターの作り方
■@デジタルクリエーションクラブ/②目に見えない 気持ちを映像で表す
■@デジタルクリエーションクラブ/③ ロング バスト アップ を意識
■@デジタルクリエーションクラブ/④ デジタルを活かすためのアナログ
NPO法人 放課後NPOアフタースクールさんとのコラボレーション
映画監督でもある受講生の胡麻尻さんのご紹介で、NPO法人 放課後NPOアフタースクールともコラボレーションが実現しました。
放課後NPOアフタースクールが運営を委託されている谷中小学校にて、放課後の時間を使ってキッズシナリオを実施しました。
限られた時間の中で、子どもたちにシナリオの作り方をお伝えし、最終的には発表かも実施しました。
じつは、今回の対象となって5・6年生は、なかなか放課後の時間に、こういった活動に参加しないそうです。ですが、5・6年生ほど、放課後に居場所が必要だということで、放課後NPOアフタースクールさんとしては、今回の企画は冒険だったようです。
【目的】シナリオを書いて、物語の作り方を身につける
オリジナルの物語をipadで撮影する
撮影した作品を発表する
【対象目安】小学4.5年生
【実施時間 】全4回(45分×4)
全4回の実施で、毎回授業の時間とは異なる気楽さのなかで、わいわいとみんなでシナリオを作ったり、撮影したいして、楽しく過ごしました。
最後の時間は、たった45分でシナリオをつくり、撮影もし、上映会まで実施。子どもたちの吸収力の速さと行動力に、大人たちが目を丸くしていました。
・「高学年ビッグプロジェクト始動開始!!『シナリオプロジェクト』プログラム」
ショートムービーを作りたい!そんな依頼が増えた2021
2021年の特長の一つとして、「『ショートムービーを作りたい!』と子どもたちが言っているのだけれど、作り方を教えてもらえないか?」というお問合せです。
じつは、いままでこのようなお問い合わせは、まれ、でした。
でも、2021年は、横浜市立牛久保小学校、横浜市立荏田東第一小学校、私立カリタス小学校、横浜市立本町小学校と4校の小学校から、ご依頼頂きました。
背景には、コロナ禍でGIGAスクール構想が、一気に進み、各学校に一人一台のタブレットが支給されたというのがあると思います。また、コロナによって、密になりがちな学芸会の開催がむずかしくなったことで、「なら、動画で!」という学校が増えたことも関係しているようです。
いずれにぜよ、先生だけでは伝えられない部分を補完する役割として、シナリオ・センターにご依頼いただきました。
上記の小学校では、各小学校の依頼内容に沿いながら、【ショートムービーを作ろう!】を実施。
登場人物のキャラクター(性格や特徴など)を考え、シナリオを書き、撮影するまでの工程で必要な技術についてワークショップ形式で実施します。※撮影には、学校に支給されているタブレットを使用します。
【目的】クラスで協力してショートムービーをつくる
おもしろい物語の作り方を模索する
シナリオをつくり、シナリオを撮影する方法を身につける
観客を意識して、おもしろい物語をつくる
【対象目安】小学3~6年生・中学1・2・3年生
【実施時間 目安】2コマ(45分or50分×2)
「みんなで映画を作るには /カリタス小学校6年生の映画作り」
総合的な学習の時間 事例の参考に/シナリオを書いて映像を撮る@本町小学校
地域活性化のPR動画をつくりたい!
2021年の特長の二つ目は、「『PR動画をつくりたい!』けど、どうすればいいの?教えてください!」というものです。
こちらの依頼が増えた背景も、上記のショートムービーと同じではないかと思います。
PR動画の場合は、中学校からもご依頼を頂きます。
大田区立大森第三中学校、三鷹市立三鷹第四中学校、松戸市立北部小学校、足立区立足立扇小学校、横浜市立矢向小学校で実施しました。
PR動画作りが、ショートムービー作りなど、オリジナルの物語作りと異なるのは、目的が地域活性化など、自分たちの外側になることです。地域の商店街を盛り上げる活動の一環として、もしくは、松戸市立北部小学校のように、地域の重要文化財『戸定邸』を紹介するためにPR動画を作ります。
PR動画作りのポイントを通して、
・自分たちが伝えたいことはなにか、
・それを誰に伝えたいのか
・伝えるために、どんな素材を、
・どう構成すればいいのか
など、主観的な視点と、客観的な視点を織り交ぜながら考えます。
調べて成果を、PR動画にするというのは、2021年以降、ひとつのトレンドになるのではないでしょうか。それくらい、子どもたちには学びが多いのではないかと思っています。
【PR動画をつくろう!】
学校やクラス、地域(地元企業)を題材に、PR動画作りに必要な『シナリオ』『絵コンテ』『撮影』『編集』の工程を体験する。
【目的】自分たちの地域について調べる
何を、どのようにすれば、伝えたいことが伝わるか、考える
PRに必要な素材を集めて、構成する
視聴者を意識して、動画をつくる
【対象目安】小学5.6年生・中学1・2・3年生
【実施時間 目安】2コマ(45分or50分×2)
子どもが作る地域活性化のPR動画/大切なのは「何を伝えたいか」@矢向小学校
これまでの活動を報告する「振り返り動画」を作るとき@三鷹第四中学校
2021年の集大成として、初の『子ども動画祭』なるものを開催
2021年は、たくさんの小学校・中学校で、動画作りをしました。
そこで、そのままにしておくのはもったいない!ということで、『キッズシナリオ 子ども動画祭』をやってみよう!ということで、動画祭を企画し、各小学校に参加を打診しました。曜日と時間が限られているので、なかなか難しいかな、と思いましたが、松戸市立北部小学校、横浜市立荏田東第一小学校、私立カリタス小学校、横浜市立本町小学校の4校がご参加くださいました!
オンライン開催することで、小学校のクラス同士も結ぶことができます!
各小学校は、持ち時間15分の中で発表してもらい、各学校から感想ももらいました。どの学校の子どもたちも、自分たちが同じように動画を作ってきたからこそ、どこがすごいかもわかり、お互いに刺激を受けていました。
正直、いい企画だな、と思いました。
また、なかなか、成果物まで拝見できることがなかったので、シナリオ・センターのキッズシナリオとしても、とても有意義な時間となりました。可能であれば、2022年度もやりたいな、と思っています!
子どもたちの感想もあるので、是非、ブログもご覧ください!
2021年度 コロナ禍でも充実の活動でした
2020年から続く新型コロナウィルス感染拡大の影響で、ちょっとばかり、気が滅入ることもありました。
ですが、キッズシナリオが多くの学校からご依頼いただき、子どもたちとの時間を過ごすことで、シナリオを日本中の人に届ける意味、を再び考えるコトができました。
2021年は、計11校での活動、のべ1200名以上の子どもたちにキッズシナリオを体験してもらうことができました。
キッズシナリオは、シナリオ・センターの手弁当(ボランティアよりも、こちらのことばがすき)で実施しています。とはいえ、実は2021年の6月からアシスト(寄付)を募集しており、そのおかげで、持続可能な形ができつつあります。
キッズシナリオの活動のそのものを収益化するつもりはありませんが、活動の主旨にご賛同いただけるようであれば、是非、本活動をアシスト頂ければと思います!
継続アシスト:https://congrant.com/project/kidsscenario/4352
都度アシスト:https://congrant.com/project/kidsscenario/4370