ランドセル
シナリオ・センター代表の小林です。4月は冷たい雨が降ろうと、やっぱり芽吹きの春を感じます。
特に、新1年生の小さな体に大きなランドセル姿は、ほほえましく、いつみてもいいものです。新入学シーズンの絵としては、最高です。
でも、重くないのかなぁ、あの立派なランドセル。
私自身、年老いてからは、なにしろ持つ物は軽く軽くと、皮革バッグをやめて、ナイロン系のバッグにしてしまったせいか、つい余計な心配してしまいます。
そう思うのも、私が1年生の時1メートルにちょっと足りない身長で、いわゆる栄養不良のおチビさんだったので、ランドセルがとってもしんどかったせいかもしれません。
重さの話とは違いますが、私の母は、女の子だから赤いランドセルと決めつけはおかしいと、女の子でたった一人黒いランドセルを私に背負わせました。ちょっと悲しかったなぁ。そんなトラウマもあります。(笑)
今は、そんな母の選択は素晴らしかったと思えるのですが、子供の頃は赤やピンクに憧れていたものです。
今は、色とりどりのカラフルなランドセルがいっぱいあるのですね。
それにしても、小学生のランドセルは、何故変わらないのでしょう。
最近の中高生は、リュックを背負っている子が多く、ぺっちゃんこにする不良の革鞄は今は昔のようだし、体のためにもいいし、実用的にもなっているようなのに、小さな子どもが毎日使うものが変わらないのはなぜでしょう。
こういうのもジェンダー差別とか別姓拒否に繋がっている気がするのですが。
おとめ長屋
出身作家の鷹井伶さんの新作が出ました。新たなシリーズが初まるようです。
「おとめ長屋~女やもめに花が咲く~」(角川文庫刊)
主人公は、尽くす女千春。尽くし過ぎるがゆえに相手に嫌われるという損な性分。
長年勤めてきた小間物屋が店を畳んで、住むところもなく困っていた千春を助けてくれた仙吉に尽くし過ぎてうるさいと追い出され、新たな住まい付き職場を探すも、番頭に夜這いをかけられ、通りすがりのお涼に助けられる。
お涼が連れて行ってくれたのは、女性ばかりが住む「おとめ長屋」。
長屋には、料理屋の仲居お涼、着物仕立てのシズ、手習いを教えている武家の出の加恵、廻り髪結いのマキ、大家で十九文屋を営むトメなど、ひと癖ある女性たちが住んでいます。
尽くし過ぎて嫌われるという因果な性分の千春を軸に、それぞれ背景事情の違う女性たちのそれぞれの生きざまが、ちょっと悲しく、でも心地よく共感を呼びます。
背景と事情をしっかり作っているからこそ生き生きと描かれるキャラクター、そのキャラクターが物語を動かし、それぞれの小さいけど本質を突いた事件、男女差別、オレオレ詐欺まがいなど今の時代と変わらないことを面白く取り入れつつ、人は一人で生きるのではなく、共に生きるからこそ楽しいのだということを教えてくれます。
女性同士の連帯、職業も立場も生まれも育ちもみんな違うけれど、だからこそお互いを認め合える日々の暮らし、久々にホンワカ、スッキリ、気持ちよくなれる時代小説を読ませていただきました。
この春東京から関西へ引っ越された鷹井さん、今までと違った景色、環境の変化の中で新たな気持ちでフレッシュな発想を生み出していくことでしょう。
ますますのご活躍を期待しています。