表現
シナリオ・センター代表の小林です。雨上がりの日曜日は、5月から始まる145期シナリオ作家養成講座の説明会でした。
シナリオ・センターは、新井一が「日本中の人のシナリオを描いてもらいたい」と願って創設されました。
ここ数年ちょっと、世界中で、様々な局面でキナ臭いというか、恐ろしいことが増えてきています。
表現する力、伝える力がとても大事に、必要になってきています。
日本人はどちらかというと、自分の想いや考えを出すのが得意ではなく、「慮る」「忖度する」精神が強いというのか、「NO」ひとつもなかなか声に出せません。
頑張って声をあげると、特に政治問題などは「お前ごときが言うのはおかしい」となじられたりします。
どんな立場であろうと同じ人間ですから、自分の想いや考えを述べることはいけないことではなく、むしろ歓迎すべきことだと思うのですが。
それでも、少しずつですが、声をあげられる方が増えてきました。どんどん増えていってほしいです。
声をあげるには、伝える技術を持つと安心してできるようになります。
人は皆違う、誰一人同じ人はいないのですから、わかるように伝えなくてはなりません。
井上ひさしさんは、「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに書くこと」と言っています。
伝えるということは難しいことですが、だからこそやりがいがあるというものです。
発想
説明会では、ちょっとしたセリフ遊びをしていただいています。
短いシナリオに、ある人物のセリフを入れていただくのです。
3分ほどで描いていただくのですが、まだ、シナリオを学んでいるわけではないのに、全員が全く違うセリフを描きます。
みんな違う人間ですから、一つとして同じものがあるはずがありません。
でも、案外そう思っていらっしゃらない方が多く、びっくりされます。
自分と同じものは誰も作れない、だから創作は面白いのだということを実感していただく瞬間です。
もちろん、同じような感じのことを発想するというのはあります。
時代や世の中の動きなどを見て、考えることは同じだなということはあります。
でも、100%同じということはありません。もし100%同じだったら、違う人間が自分と全く同じ発想だったら、それこそ怖い。(笑)
発想って、どこから浮かぶのでしょうか。
いつもすごーなぁと思いながら、出身ライターの方々の作品を拝見するたびに感心します。
新井一の「発想する技術10則」では、
・姿から発想しよう
・なんでもアベコベ 知恵が湧く
・好きな作品を思い出してみよう
・天・地・人をぶつけてみよう
・もしもと連想してみよう
・絞りだす手もあります(笑)
・制限してみると異色作に
・テーマからビジュアル
・俳優さんから考える
・視点を変えると無尽蔵
こう言うことを使って、色々発想してみてください。
今までと違った見方や想いなども生まれてきます。
人間の頭、心は柔軟ですから、ちょっと発想の仕方を変えるだけでも、新しい発想が生まれてくるはずです。
発想は大本ですからとても大事なのですが、シナリオや小説の良さはディテールにつきます。
どう見せるか、どう読ませるか、どう伝えるか、表現力です。
世界中がうごめいている今、一人一人が表現する力をもって、私の想い、考えを伝えていきたいものです。