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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

表現

奇跡のミシン~天国の声届けます~(双葉社)

氷山の一角

シナリオ・センター代表の小林です。迎賓館が近いせいか、我が家の近くはここ1週間ほどわさわさしています。
日米豪印の4ヶ国会議とのことですが、平和のためにいいかじ取りができればいいのですが。
バイデンアメリカ大統領を迎えている様子をテレビで見ながら、なんとなくへりくだって見えてしまったのは、私の偏見なのでしょうか。そう思いたい。
見ていたら頭によぎったのですが、日本は「沖縄の基地をなくして、ゼロにして」とお願いしたことはあるのでしょうか。
沖縄は50年前の5月15日に日本に返還されましたが、本当にそれは幸せだったのかと、今の沖縄の人々の声を聴いても、日米首脳の様子を見ても、気になってしまいます。
日本の立ち位置の本当のところを知りたいです。
日本のマスコミは、都合のいいところしか報道しないので、私たちが知っていることはほんの一部です。
ほんの一部、氷山の一角なのに、めちゃくちゃ腹立つことが多いので、全部見えちゃったら、私は卒倒して、二度と立ち上がれないのではと思ってしまいます。(笑)
日本全体が赤字なのに、やっていけないからあれこれ値上げといわれるのに、お上と連れ添っているパソナと電通は黒字だとかいうし、本当にわからないことばかりです。
国会中継もNHKがしないので、知らないうちに通っちゃった法案もあり、誰がどうしてどういう展開で法案が通ったのかを見せないっておかしいですよね。
だんだん秘密が多くなり、だんだん嘘が多くなっています。
80年前に戻らないように、「おかしいな」「???」と思ったら、みんなでちゃんと訊かなくちゃいけないですね。
質問力を磨いておきましょう。

奇跡のミシン

出身ライターの清水有生さんの小説ができました。
「奇跡のミシン~天国の声届けます~」(双葉社)
この小説の元は、なんと清水さんがお描きになった2021年12月11日放送のNHKFM「FMシアター ミシンの音色をもう一度」。
エピソードを追加して小説にされたものだそうです。
ラジオドラマを小説化するというのはちょっと珍しいかもしれません。
残念ながら、私は、ラジオドラマをお聴きしていないのですが、FMシアターは50分ですから、新エピソードもだいぶ追加されたのではと思います。

物心つく前に別れたきりの父親が亡くなったと知らせが来たところから始まる中村みどりのお話です。
優秀なパタンナーだったみどりは、業績不振によって解雇されてしまう。
そんなみどりのところへ、3年前に亡くなった母とともに憎んでいた父親が亡くなったので、遺品整理をしてくれという連絡が唐津から入る。
唐津に向かうとテーラーを営んでいた父は、遺品リメイクの仕事をしており、その後始末迄しなくてはならなくなる。
仕方なく残った注文を引き受け、父が使っていた年代物の足踏みミシンを動かし始めると・・・ミシンから誰かが話しかけている。
亡くなった人の「死んじゃった今だから言える」本音をミシンから聞き、遺品のリメイク作品とともにその声を渡していくことになってしまったみどりは、遺された人たちと接していくうちに、みどり自身も、唐津くんち、唐津一のくんちのぼせだった父と、くんちのぼせを憎んで別れた亡き母とまた。

NHK朝ドラ「あぐり」「すずらん」、TBS「金八先生」のほか、「明日の光をつかめ」(CX)「プラチナエイジ」(CX)「さくらの親子丼」(CX)「夫婦道」(TBS)など等、人間愛を描いてシリーズ化なった作品が多い清水さんですが、こちらはテレビドラマならではの映像的な表現方法で心温まるドラマを描いていらっしゃいます。
今回の小説は、とても心が優しくなるお話の数々を音でイメージを広げていらっしゃいます。
舞台は佐賀県唐津。方言を巧みに、ミシンの「カタカタカタカタ」という音をとても効果的に使われているのは、ラジオドラマの特色を生かしてのことかと思います。
ですが、ラジオドラマだけでなく、小説にもこの音が、天国へ行った人、遺品の持ち主との対話を引き立てます。
亡くなった本人からメッセージを聞くという驚くべきことを「カタカタカタカタ」ミシンの音が自然に気持ちを取り込んでいくのです。
清水さんが、媒体の性質を上手に生かして描かれていることがよくわかります。
そして、亡くなった人のメッセージが意表を突きます。
真実だからこそ、痛みもありながら心を癒す亡くなった方々の声が、生きている人たちを元気にしてくれるのだと思いました。

遺品リメイクをお願いしたい。カタカタカタカタ・・・父や母はどんなメッセージを語ってくれるのでしょうか。

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