発想
5月31日、シナリオ・センター代表の小林です。今日で5月も終わり、明日は6月、衣替えとなります。
「一つ脱いで後ろに負ひぬ衣がへ」(芭蕉)衣替えの時に芭蕉が詠んだ句です。
旅の途中で着替えも持たない私(芭蕉)は、一枚脱いで背中に担いで衣替えということにしようと詠みました。
旅先での芭蕉の姿が目に浮かびます。
テレビ番組「プレバト!!」でおなじみの夏井いつき先生が、よくおっしゃっていますが「目に浮かぶ、情景が見える」ということが俳句も大事なのですね。シナリオと同じです。
目に浮かぶというのは、想像力がある、他人への想いがあることです。
経済ジャーナリストの荻原博子さんがこうおっしゃっていました。
「庶民生活が分かっていませんね。給料や年金が増えない中で、物価だけ上昇し、生活不安が高まっているから貯蓄が増えているのです。
投資はバクチ。老後の安心を考えたら、そんな発想できません。
株価も為替も乱高下していて、普通の人が投資する相場環境ではないですしね」
岸田首相がぶち上げた「一億総株主」貯蓄から投資へという新たな政策。
爪の垢をともすように貯めた子育てや老後に備えている貯金(自助)を出して、バーンと投資して稼ぎましょうと呼びかけています。
国民の姿が目に浮かんでいるとは思えません。想像力もないのでしょうか。
バクチさせて身ぐるみはがそうって、どこまで庶民を裸にして鞭打てばいいのでしょう。
生活保護も年金も減らして、バクチに誘いこみ、カジノも作っちゃうって、やくざも顔負けのお上ではありませんか。
「NISAは、利益が出なければ非課税枠の恩恵を受けられない。
60歳まで引き出せないイデコは、コロナ禍で多くが経験したリストラ時などには役に立ちません。
安倍・菅政権で『自助』をたたき込まれ、コロナ禍で実際に助けてもえなかったことが身に染みている。
投資よりも、まず貯金しなきゃ、と考えるのが普通です。
『1億総株主』なんて失礼な話。人のサイフに手を突っ込まないで欲しい」(荻原博子氏)
世も末というのは、こういうことを言うのでしょうね。
映画脚本の教科書
シナリオ・センターの教本ではありませんが、シナリオ作りのノウハウ本が出ました。
「映画脚本の教科書~プロが教えるシナリオのコツ~」(メイツ出版刊)
シナリオ制作のコツ50を、とてもわかりやすく書いています。
まったくシナリオを描いたことがないという方よりは、ちょっと描いたことがある経験者で、うまく描けない、もうワンステップ上がりたい、何がいいのか悪いのかわからなくなっちゃった、いまいち進歩がない、他人に分かってもらえないなど等のお悩み、迷いがある方へ最適な本です。
50にわたって、「なにをどうすればいいか」という項目で分けてあるので、最初から最後まで読み通さなくても、自分が迷っている、悩んでいる「???」と思ったページを開くとヒントをもらえるという読みやすさです。
シナリオの技術を細かくは教えてくれませんが、「なるほどこんな方法で考えればいいのか」ということを知ると、視界が広がって見えます。
だったら、こう考えてみよう、あの技術を使ってみようという指針になります。
シナリオライター志望の方だけではなく、俳優さんや監督・スタッフの方にも勉強になります。
シナリオ・センターもコラムを載せていただいています。
6月8日、出身ライター、小説家で脚本家の宇山圭佑さんのミソ帳倶楽部があります。
小説家志望の方も、脚本家志望の方も聞いていただきたいと思います。
他人の話を聞くことは、自分の感性、教養を広げてくれます。
伝える技術は、他人の話を聞くことで磨かれるのです。
自分の周りだけで、自分の想いだけで考えると、「一億総株主計画」と同じになりますからね。
明日6/1・6/2と勝手ながら、「表参道シナリオ日記」は、お休みをいただきます。ちょっと骨休め、温泉修行(旅行ではありません)。(笑)
身も心も頭もすっきりさせて、パワーアップして戻ってまいります。