吉右衛門丈
シナリオ・センター代表の小林です。朝、某講師から「新井一先生が新聞の大きく出ている」と一報。「え~」と思ったら、新井巖講師でした。(笑)
親の顔に歳をとるとよく似てくるといわれますが、本当によく似てくるものだとびっくり。講師と二人で大笑いしました。
コロナ禍でずーっと行われなかった日枝神社の山王祭が、ようやく今年開催されます。
明日11日に、各町会が山車を出して日枝神社に宮入りをします。
名物の王朝絵巻行列や稚児行列がある神幸祭も御神輿もでないのですが、それでも、厄病退散の祈りも込めて行われるようです。
で、ここに新井講師が登場します。
実は、新井講師が町会長である六番町町会(千代田区)は、1950年に先代の中村吉右衛門丈から奉納幕が贈られ、山王祭ごとに御神酒所に掲げていました。
2018年歌舞伎座の舞台後に二代目吉右衛門丈から「二代目として奉納幕を新調して寄贈したい」という申し出をいただきました。
新しい幕は、昨年5月に完成したのですが、コロナ禍で山王祭も開催されず、またその2カ月前に倒れられた吉右衛門丈は帰らぬ人になってしまわれました。
奉納幕のお披露目を楽しみにしてくださっていたとのことですが叶わず、今年ようやく二代目吉右衛門丈の遺志を継ぐべく、初お披露目ができることになったというお話なのです。
こうした交流は、文化芸術を絶やさないためにとても大事なことです。
いつまでも、楽しくお祭りができる世の中であるようにと、吉右衛門さんは天国で、いや奉納幕の陰で見守っていらっしゃると思います。
それにしても、吉右衛門丈、あちらにいらっしゃるのが早すぎました。人間国宝の至芸をまだまだ拝見したかったのに・・・残念。
映画音楽
鎌倉市川喜多映画記念館が「映画と音楽の素敵な出会い」展を行います。(6/18~9/11)
映画音楽を聴くと、その映画のシーンが目に浮かびます。
今、話題になっているのが、前にもお話しましたがイタリア映画の「ひまわり」。
川喜多映画記念館でも上映されます。(8/16~21)
1970年の作品ですが、ロシアのウクライナ侵攻が起き、世界中がキナ臭い今を憂いて、「戦争は、殺された人もそうですが、生き延びた人もかくも悲惨なのだ」ということを訴えている作品として、あちらこちらでリバイバル上映をされています。
イタリアの二大俳優ソフィアローレンとマルチェロマストロヤンニの演じる愛し合う夫婦が戦争のために引き裂かれる不朽の名作で、ヘンリー・マンシーニの心に響く哀切なメロディが忘れられません。
この曲が頭によぎると、戦争の悲惨さが胸に蘇ります。
戦争といえば、坂本龍一さんの「戦場のメリークリスマス」、邦画もたくさん忘れられない胸打つ映画音楽がありますね。
曲を聞くと「あ。くる、くる」と思っちゃう「ゴジラ」とか。(笑)
私は、今日、出身ライター森下佳子さん脚本の「大河への道」を見てきたのですが、テーマ音楽の玉置浩二さんの「星路」(みち)がとっても素敵で、エンディングでもグッと来てしまいました。
「大河への道」は、立川志の輔師匠の新作で、伊能忠敬のお話です。
私は、志の輔師匠の落語「大河への道」を3回お聞きしているのですが、落語原作は、小説を原作にしたものの映画化とも全く違うものだとわかりました。
落語は落語家さんが一人で演じる、映画は多くの登場人物が出て、役者さんたちがそれぞれキャラクターを演じていく。顔も姿も見える。
この違いは、作品の見せ方をずいぶんと変えてしまいます。
森下佳子さんは、落語の中の究極の面白シーンをエキスにしながら、ちょっと違う味付けにされていらして、とてもうまいです。
しかも、もう役者さんがすごいですから、中井貴一さん、松山ケンイチさん、橋爪功さん、この3人のやりとりだけで笑わせられます。
志の輔師匠の落語が最高なので、中井貴一さんがどうしても映画化したいと創られたのですが、まったく違うものですね。
もちろん見せるという意味では、落語も、映画も同じですが、見せ方の違い、表現の違いは大きいです。
ジャンルの特性どう見極めるか、どう使うかが、脚本家の力だと思いました。