試験
シナリオ・センター代表の小林です。参議院選挙も終り、世の中の情勢を見て、やっぱりと思いつつ、弔い合戦という言葉を聞くと、なんだかなぁ、日本はこれからどうなっちゃうのだろう、戦争に走っちゃうのだろうかと不安が募るばかりです。
公務員のなかで政治家だけがノー試験だから、ちゃんと適性、資質などを試験した方がいいという話をされた方がいらして、なるほどと思いました。
確かに公務員の方は公務員試験を受けていらっしゃるのに、国のトップになる人がノーマーク、ノー試験とは解せないですよね。
ふだんから自分なりに社会や政治について色々見聞きし、考えている人ならまだしも、なにもわからず知名度だけで担ぎ出されてしまうタレント候補や2世議員などは、ゼッタイに試験が必要でしょう。
私たちは就職するのでも試験はあり、落されたりするのだし。
これから勉強する人が無試験というのはありだと思っているのですが、すぐに実際に国を司る仕事をされる人には、断然厳しくしたいです。
だって、私たちの生活、命を預けるのですから。
知名度ではなく、きちんと自分の頭で考え、心で想い、自分の言葉で伝えることができなければ、国を司る一員になってはいけないと思います。
私たちもそういう人を選んではいけない、選ぶ方にも責任があります。
今回も、あまりに何も知らないということで、やたら話題になったタレントさんが当選しました。
なったからにはただの数合わせにならないように、本気で猛勉強して自分の考えを持って欲しいと願うばかりです。
太陽にほえろ!
朝日新聞の「今こそ!見たい」で1970年~80年代の刑事ドラマのランキングが発表されていました。
1位はダントツ「太陽にほえろ!」
今月21日に放映50周年を迎えるのだそうですが、1972年から86年、14年4カ月にわたっての放映、長寿番組でもあり、素晴らしいテーマ曲は、なにかにつけて流されますから、一番知られているのではないでしょうか。
「太陽にほえろ!」を創られた岡田晋吉プロデューサーは、「大都会シリーズ」「俺たちの旅路シリーズ」「あぶない刑事シリーズ」等々、日本テレビのドラマ黄金時代を創られた方です。
岡田さんはインタビューで「刑事の若者を主人公にした青春ものをやりたかったんです。
視聴者の少年少女や若者が、自分の人生について考える契機になるようなドラマを創りたかった。
これがテレビドラマの仕事だと考えました」と仰っています。
ただ面白いものを創ればいいというだけではなく、社会における影響も考えて創られたドラマだからこそ長寿ドラマになったのだと思います。
主人公の若い刑事は、あの有名なショーケン(萩原健一さん)がマカロニ刑事を演じ、殉職したのは伝説となっています。
若い刑事は、ショーケンの降板希望で殉職することになってしまい、無名の松田優作に白羽の矢が立ちました。無名の彼を社内の反対をおして、永遠のスターまで伸し上げたのは岡田さんです。
それから、何人もの若い刑事が生まれ、スターとなりました。
その彼らを支える石原裕次郎さん演じるボスをはじめ、山さん、ゴリさん、長さん、殿下、シンコなどのレギュラー陣が、脇をしっかりと固め、それぞれのキャラクターをまったくぶれることなく演じていったこと、刑事ドラマとしてだけでなく人間ドラマとして描かれたことで、長寿ドラマとなったのだと思います。
一貫したテーマ、それぞれ登場人物の確固たるキャラクター、人間を描くことでドラマの魅力は決まるのではないかと思います。
岡田さんがなぜ、多くのシリーズもの、長寿ドラマを創ることができたのか、一度お話を伺いたいと思っています。
実は、岡田さんから「太陽にほえろ!」「俺たちの旅シリーズ」などのDVD全巻、今年の初め寄付していただきました。
「シナリオ・センターの若い書き手の勉強になれば」と。
今年「太陽にほえろ!」放映50周年ということもありますので、涼しくなりましたら岡田プロデューサーにお話をおきかせいただくお約束もしています。
その時は、柏原寛司さんやセンター出身の「太陽にほえろ!」を執筆された方々のお話もお聴きしたいなぁと思っています。
名作として残るものには、必ず忘れられない登場人物がいます。
キャラクターがいかに大事かということですね。