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『考える部屋』2期生大発表会
書き手のイメージが読み手に伝わるように

書き手のイメージが読み手に伝わるように/考える部屋2期大発表会

小学5年~中学3年生向けのオンライン創作講座「考える部屋」。
2期生のメンバーは12回目を迎える「エピソード12」で中間発表会を開催。

>>『考える部屋』2期生 中間発表会の模様はこちらで。

そして、最終回となる「エピソード24」には、集大成となる大発表会を開催。

1期生の大発表会に続き今回も、『ちびまる子ちゃん』の“藤木の声”等を担当されている声優の中友子さんに子どもたちの作品を読んでいただきました。

>>『考える部屋』1期生 大発表会の模様はこちらで。

当日始まる前、『考える部屋』担当の新井は、“読み手”の中さんにこんなお願い事をしていました。

〇新井:もしかしたら「この登場人物はこういう感じで読んで大丈夫かな」と悩むところもあるかもしれませんが、子どもたちに確認はせずに、中さんがシナリオを読んで感じたイメージのまま演じてください。書き手である自分のイメージは、読み手にちゃんと伝わっているか。自分のイメージと違った場合は、どう書けば良かったのか、を考える良い機会にもなると思いますので!

そうなんです。発表会はただ作品を発表するだけの会ではありません。今回で言えば「読み手」「聞き手」、映像作品で言えば「視聴者・観客」を意識して書くことがいかに大切かを知ることも、この発表会の目的といえます。

でも、新井の心配は杞憂に終わりました。2期生メンバーの皆さんは、読み手や聞き手をちゃんと意識して書くことができていたから!

それもそのはず。全24回(半年間)、毎週、自分が表現したいことを、どんなシナリオの技術を使って、どう書けば人に伝わるのか、一生懸命練習してきたからです!

今回はその模様の一部を広報の齋藤がリポートいたします。

例えば、「物語を書くのが大好き!」という創作好きなお子さんをおもちの親御さん。「いつもひとりで思いのまま書いている」ということでしたら、そのもうひとつ先の「その物語を人にも伝わるように書く」というステップに進むヒントとして、こちらの記事を是非参考にしてください。

セリフがなくてもト書の動作だけで伝わる

*

2期生大発表会の課題は「手袋」。規定枚数はペラ6枚以内(=1200字程度。400字詰め原稿用紙なら3枚)。主要な登場人物は3人程度(※3人だと本音と建前が交錯して物語が面白くなるので)。

2期生メンバーがどんなシナリオを書いてきたのかというと、例えば、MKさんの『手袋とおばあちゃん』。以前『考える部屋』で学んだ「作品に社会問題を取り入れる」ということを本作でも挑戦していて、「認知症高齢者」について考えさせられる、孫とおばあちゃんの感動的な作品になっていました。

発表後、MKさんがどんなイメージや想いで書いたのか。そして、“読み手”である中さんはどう受け取ったのか。司会進行役の新井がMKさんに質問します。

〇新井:いやー、素敵な話ですね。まずは、中さんに読んでいただいて、どうでしたか?感想をお願いします。

〇MKさん:いやー、もう、なんか、おばあちゃんの声が自分が想像していた以上というか、リアリティがあってすごく良くて、ちょっといま、何て言えばいいのか頭が追いついてないです(笑)。

〇新井:そうかそうか、自分が思っていた登場人物のイメージと“ズレ”がなくて、しかも想像以上で感動しちゃった?

〇MKさん:はい(笑)

〇新井:MKさんが、登場人物のキャラクターをしっかり設定して書いているから、「この人はこういう感じ」というのが読み手の中さんにちゃんと伝わって、思い通りのイメージ、というかそれ以上で表現してもらえたんだと思います。

それからMKさんはト書も本当に上手になったね。中さんも読んでいてそう思いました?

〇中さん:思いました!すごい感情が入るんですよね、このト書に。だから逆に(感情を)入れ過ぎにないように気をつけました。おばあちゃんの気持ちも、主人公である孫の弥恵さんの気持ちも、読んでいてすごく伝わってきました。

――『考える部屋』講師の「てっちゃん」(※考える部屋では先生とは呼びません)は、この作品を聞いてウルウル。

〇てっちゃん:すごくよかったです!おばあちゃんがこの手袋のことを覚えていない。それに対する弥恵さんのアクション・リアクションを通して、どれだけこの手袋が2人にとって大切な思い出になっているか、という“事情”が、この短い中で感じることができます。

ラストシーンで、老人ホームに行くおばあちゃんが手を振る。弥恵さんはその手袋をはめた手で、手を振り返す。もうそれが切なくて。セリフはいらない。ト書に書かれたこの動作だけでしっかり伝わる。とっても上手でした!

――Zoom画面に映っているMKさん、ニコニコと安心したように微笑んでくれています。やっぱり、自分が伝えたいことがちゃんと伝わると嬉しいですよね。

こんな感じで発表はどんどんと続いていきます!

登場人物の「声」もイメージして書く

次にご紹介するのは、MNさんの『手袋から始まる平和同盟』。なんと宇宙人が登場します!

発表中、新井、笑いっぱなし↓

さて、MNさんはどんなイメージや想いで書いたのか。そして中さんはどう受け取ったのか。新井が質問します。

〇新井:MNさんはいつも独特な世界観があって、今回もまた面白いですねぇ!中さんに読んでいただいてどうでしたか?

〇MKさん:特に宇宙人の声は具体的にイメージしながら書いたんですが、それ通りで、面白かったです。

〇新井:おお!『考える部屋』ではずっと、自分が表現したいことを映像で表すにはどうしたらいいか、その“絵”を頭に浮かべながら書くということをやってきたけど、MNさんはそれにプラスして、登場人物の“声”も具体的にイメージしながら書いたんだね!素晴らしい!ちなみに、この宇宙人はどんなイメージ?

〇MKさん:手は人間ぽくないけど、その他はまあまあ人間ぽい、というか。

――すると、このコメントを聞いていた中さんが

〇中さん:あ!それは良かったです!「人間に一番似てない手を隠そうとしている」という宇宙人なので、人間ぽさを出しつつも、宇宙人ということがすぐ分かるような、やや宇宙人寄りで読んでみました(笑)。

〇新井:中さんの声、ほんと、その通り!という感じだったよね。

〇MKさん:はい!

〇新井:MKさんみたいに、シナリオを書くとき、登場人物の声もイメージしてみるのも1つの“手”なのかもね。こんな声で、こんな喋り方をする、と登場人物のキャラクター想像しながら書くと、それが読み手にもちゃんと伝わるってことだよね。

――「うんうん」と、Zoomの画面に映っている2期生メンバーが頷いてくれています。

『考える部屋』講師の「ヒロくん」からはこんな感想が。

〇ヒロくん:手袋を「手を温めるため」ではなくて、「手を隠すため」に使うという、こういった小道具の使い方や発想がとってもいいなと思いました。

それから、主人公の友達の“手袋を集めている渡辺さん”もよかったし、人間から差別されて困っている宇宙人を手袋で助けるために、ラストシーンで円陣を組んで心を一つにするという前向きで楽しい感じもすごくよかったです。この続きがあったらもっと見てみたいなと思いました。

――『考える部屋』で習ったシナリオの技術を活かして、なおかつ、それを自分流にアレンジもして、作品を書いたMNさん。自分の描きたい世界観をどう書けば人に伝わるのか。このことをMKさんはしっかり意識して書いているんだ!ということがよく分かる発表となりました。

「今までひとりで、自分の感覚で書いてきたけど、どうやったら面白くなるかが分かった!」

*

今回ご紹介したメンバー以外の作品も、それぞれの個性が光る面白い作品でした。

大発表会が始まる前に、「書き手である子どもたちのイメージと、読み手である中さんのイメージに、もしかしたら“ズレ”があるかもしれない」と少し心配していた新井。でも、心配する必要は全然ありませんでした。

書き手の意図が読み手や聞き手に伝わるように書く。2期生のメンバーはちゃんと意識してできるようになっていました。今回ご紹介した模様をご覧いただくと、そのことがお分かりいただけたかなと思います。

全作品発表後、てっちゃんとヒロくんは「皆さん、予想以上に上達されていて、“目の付け所”がすごくいい。さまざまな物事をいろいろな角度から見て・考える“作家の眼”が養われているのがよく分かります。これは一生ものですから、これからもどんどん磨き続けていってほしいなと思います」とメッセージ。

2期生メンバーの成長を感じたのは、新井&講師だけではありません。

子どもたち自身も感じてくれているようで、全24回を振り返って、こんな感想を言ってくれました。

・いろいろな人がいるということを知ることができて、いろいろなことを学べて、たくさん発見できて、自分のシナリオに活かすことができて、本当に良かったなと思います。

・今まで自分の感覚で適当に書いてきたけど、「どうやったら面白くなるか」が分かってすごい嬉しかったです。

・『考える部屋』に参加する前は「どんな感じなのかな」って思っていたんですけど、けっこう面白い24回でした。毎回新しいことが分かっていくのが面白かったです。

・想像を膨らませることができるようになって、登場人物のキャラクターを考えたりとか、貫通行動とか、こういうワードも知ることができて、ちゃんと習うことができて、自分の作品に活かせられるようになりました。成長させてくれてありがとうございました!これからもどんどん腕を磨いていきます。

・『考える部屋』の最初の方は、なんとなくで書いていたけど、カットバックとかシャレードとか、いろいろなことを習って、面白い物語を書けるようになって嬉しいなと思っています。

・『考える部屋』の最初のほうからいろいろなことを学べて、最後にこうやってみんなの作品を聴くことができて、良かったなと思います。

・今まで人に作品を読んでもらうことはなかったけど、読んでもらって、感想を言ってもらって、「こういう見方もできるんだな」と新たに考えることができて、すごい楽しかったです。

・ひとりで作品を書いているよりも、みんなで発表したほうが良い作品を書けて、楽しかったです。

・この半年間すごい楽しかったです。シナリオだけじゃなくて小説も、教えてもらったことを使って、これからどんどん書いていきたいと思います。

――なお、大発表会では、2期生メンバーの親御さんや、“先輩”である1期生のメンバー、また、「ぜひこの模様を見たい!」というシナリオ・センターの講師や生徒さんも、オーディエンスとして参加。チャットで作品や大発表会全体に関する感想を入れてもらいました。

その中で、2期生メンバーのお母さまがこんな感想を入れてくださいました。

・「手袋」というテーマでいろいろなドラマを、2時間で、観させていただいたように思います。今夜は、色んな面白い手袋の夢がみられそうです。皆さんの年齢で、これだけの表現力と創造力が今から備わっているのは、将来が楽しみでしかありません。ブラボーです!娘にとって、貴重な半年間となりました。ありがとうございました。

――『考える部屋』で伝えてきたことが、2期生メンバーにも親御さんにも、ちゃんと伝わったということが改めて分かった、そんな“感想タイム”となり、新井はジーンと感動しています。

――最後に、新井は〆の挨拶としてこう呼びかけました。

〇新井:みんなが感想で言ってくれたように、自分ひとりでなんとなく書くよりも、「こうやれば、こう表現できるんだ!」みたいなことが分かると、自分の書く作品がどんどん面白くなっていくのが実感できたんじゃないかなと思います。

それから、「人に伝わる面白い物語を作る」ということを通して、いろいろなことに興味を持って、いろいろな角度から物事を考えられるようになってくれたら嬉しいなと思っております。

なんか、お別れの挨拶みたいになってるけど、『考える部屋』はまだまだ終わりじゃないよ(笑)

次のステップである「2期 Season2 前期」が来年1月17日からまた半年間始まります!もし「“その半年間”は都合がつかない……」というメンバーは「2期 Season2 後期」からでも参加できますよ!

また引き続き、作家の眼を養って、自分の描きたいことが人に伝わる物語を、書いていきましょう!

『考える部屋』には脚本家の田嶋久子さんも!

*

『考える部屋』には新井や講師陣の他にもレギュラーメンバーがいるのです。『ちびまる子ちゃん』などの脚本を手掛けている脚本家の田嶋久子さんです!

『考える部屋』では「ちゃこさん」というニックネームで呼ばせていただいております。なんと、ちゃこさんは子どもたちと同じ“勉強する側”でいつもご参加いただいており、今回の大発表会でも子どもたちの同じように課題を書いて発表しました。

ちゃこさんは、今回の作品に関して「カットバックやシャレードを使いました。“卒業制作に今まで習ったことを全部いれた”って感じです!」とコメント。この言葉からも本気度が伝わってきますよね。勉強熱心で創作にいつも本気のちゃこさんから、1期生も2期生もみんな刺激を受けてきました。

そんなちゃこさん。大発表会では2期生メンバーに向けてこうお話ししてくださいました。

〇ちゃこさん:皆さんの作品、どれも素晴らしくて、本当にもう感動的でした!

で、シナリオもそうですけど、小説を書くにしても、創作で一番大切なことはオリジナリティだと思うんですね。1人で勉強するんじゃなくて、他の人の作品も聞いて、自分と他の作品の違いを知るというはすごく大事なことだと思います。自分と他の人の違いを知るということは、自分の個性を知ることにもなるんですね。

自分の強みを活かして、オリジナリティあふれる作品を書くというのがすごく大事なので、『考える部屋 Season1』で自分の強みや個性をしっかりつかんでもらえたんじゃないかなと思います。

次の『考える部屋 Season2』、私も参加します。“ベーシッククラス”の「Season1」のときよりかは少し厳しくバシバシと、ただし、楽しく、感想を言わせていただければと思っていますので、さらにスキルアップを目指して書いていってほしいなと思います!

*     *     *

なお、『考える部屋 3期』は2023年6月27日(火)に開講。3期生を募集いたします!

2期生メンバーが感想で言ってくれたように、ひとりで、自分の感覚で思いのまま書いているときは気づけないことが『考える部屋』では学ぶことができます。創作好きなお子さんにおすすめのクラスです。

詳細決まり次第告知いたしますので、是非チェックしてみてください。

『考える部屋』についてもっと知りたい!という方はこちらのブログも

考える部屋

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キッズシナリオについて:出前授業やオンライン創作クラス「考える部屋」

・出前授業
シナリオ・センターは、1970年創立。優秀なシナリオライター・脚本家、プロデューサー、ディレクターの養成を目的に創設以来、700名以上の脚本家や小説家が誕生しています。2010年から「日本中の人にシナリオを書いてもらいたい」という思いから、小中学校への出前授業として『キッズシナリオ』プロジェクトを開始。創作を楽しみながら、想像力と表現力が身つくカリキュラムを提供しています。

>>ご参考までにこちらの動画をご覧ください。
https://youtu.be/_5YJL-Zuibc

※キッズシナリオの活動をアシストくださる方、随時募集中です!
シナリオ・センターが小学校・中学校で実施しているキッズシナリオの活動を後押ししてくれるアシストの方々(個人・法人)を募集中しています。手弁当で実施しているので、アシストしてもらえるととても助かります!

>>ご興味のある方は、こちらをご覧ください。

・小学5.6年~中学生向けオンラインクラス「考える部屋」創作が好きな子どもたちが日本全国から集まって、切磋琢磨する特別クラスです。創作を楽しみながら、考える力を身につけていきます。なお、6月27日(火)開講『考える部屋』3期生の募集を予定しています。

>>まずはこちらから詳細をご覧ください。

シナリオ・センターでは、小学校や中学校など教育団体への出前授業を実施しています。オンラインでも実施可能です。「こんなことを子どもたちに伝えてほしい…」というお悩みがあれば、お気軽にお問い合わせください。

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