見ていただいてありがとう
シナリオ・センター代表の小林です。土曜日はミソ帳倶楽部で映画「ひみつのなっちゃん」の近藤プロデューサーをお招きして、シナリオ・センターの社員で、この映画の脚本・監督を手掛けた田中和次朗との対談をさせていただきました。
嬉しいことにとても大勢の方が聴講してくださいました。
たぶん一介のサラリーマンの田中がどうしてデビューできたのかは大変興味のあるところだったのかと思います。
実のところ、私ですら信じられないくらいですから。
「企画が面白い」と言っていただいたまでは、「やるじゃない」と思いましたが、まさかまさか、しかも監督までやらせていただけるとは、田中自身も青天の霹靂だったでしょうが、そばにいた私たちはホントに驚きました。(笑)
私がいつも感心するのは田中の仕事に対する姿勢です。
彼は、シナリオの仕事が入っても、決してシナリオ・センターの仕事は手を抜きませんし、バイト時代から、きちんとセンターの仕事をノートしてきちんとやる人でした。事務局の誰より細かく知っていました。
そんな彼だからこそ、応援したいと思いました。
それは、私だけでなく同じ職場で働くスタッフたちもです。
仕事でもなんでも、一緒にやりたいと思わせられるのは、その人の人となり、人間性です。
今回ミソ帳が終わった後、プチイベントとして、この後新宿ピカデリーで「監督と一緒に見るひみちのなっちゃん」を行い、聴講に来てくださった方々から有志の方がご一緒してくださいました。
皆さんに応援していただけた田中は幸せ者です。本当にありがとうございます。
実はこんなまじめ人間が描いたコメディは面白くないんじゃないかと、ちょっと心配もしていたのです。(笑)杞憂でした。
今後ともよろしく応援してください。次作ができるといいなぁ。
橋田賞新人脚本賞おめでとう
橋田賞新人脚本賞が決まりました。
佳作「ビリーヴ」長島清美さん(大阪校)
おめでとうございます。
残念ながら、入選作はなく映像化はありませんでした。
初めて映像化をめざしていた橋田賞、例年の倍以上600本近くの応募があったのに、映像化まで行かない・・・本当に残念です。
橋田賞の映像化になるという募集について詳しいお話をしてくださった橋田文化財団の山﨑プロデューサもとても残念に思われていて、今年は映像化できる作品を見つけたいとおっしゃっていらっしゃいました。
4月に放映予定の石井ふく子プロデューサー企画の「ひとりぼっち~人と人をつなぐ愛の物語」(TBS)を出身ライターの山本むつみさんが描かれました。
石井プロデューサーのインタビューを拝見して、なるほど山本むつみさんに描いてもらいたいと思われたわけだと思うと同時に、これこそ橋田賞が求めているドラマの姿勢ではないかと思いました。
石井プロデューサーは、「橋田さんとは作家の中で一番長いお付き合いになるのですが、喧嘩しながらずっとやってきて、それがいい方向に向いていろんなものをつくることができました。(略)
今回の作品では、橋田賞を取られた山本むつみさんと初めてお仕事をさせていただきましたが、私が橋田さんのことをずっと考えながら作品の概要を書いていたことを彼女もよく分かってくださっていました。
最近の作品は回想シーンが多いなと感じることがあるのですが、それはどうしてなのかというところから話し合いを重ね、心と心をどういうふうにぶつけ合い、どういうふうに愛しみ合うかということを大事に考えていました。それは橋田さんと多くのドラマをやらせていただいたときに一番大切な問題だったからです。
ですから山本さんには、登場人物が今どういう気持ちでどういう心をもって現存しているかというのを主体に書いてほしいと伝えて制作しました。
今のテレビ界には心と心がぶつかり合うシーンが大事だと思っています。
犯罪物の作品が多いですが、犯罪よりも家族の方が怖いと私は思うんですよね。家族の間での心のすれ違いが多い時代なので、それを家族や友達とどう乗り越えていくのか・・・。(略)
本作は、ある一人の人間がひとりぼっちになり心を閉ざし、人と話したくなくなるが、最終的にはやっぱり人に支えられて世の中を生きていて、今までも生きてきたんだと気づく物語です。
これは橋田さんがいつも思っている言葉であり、心でした。それを私が今回、橋田さんを偲ぶこのドラマにぜひ取り入れたいなと思って制作させていただきました。」
ドラマの描き方を語ってくださっています。
そんな石井プロデューサーの想いを受け止めて山本さんが描かれたこのドラマ、是非とも見て欲しいと思います。
そこに、橋田賞入選のポイントが隠れている気がします。
そして、山本さんから「ドラマとは人間を描くこと」を学んでいただけるかと思います。
主演は相葉雅紀さん。放映日が決まりましたら、またお知らせします。