歳をとるということ
シナリオ・センター代表の小林です。歳をとると声が出にくくなります。で、年寄り連中と「声だし」の練習ということで、生涯初めての朝カラオケをやってきました。
カラオケがさして好みではない私は、たぶん6年以上前、スタッフのO嬢が辞める時に歓送カラオケに行ったのが最後です。
その時、カラオケの師匠だったO嬢に、私の歌い方は投げやりなので「ろくでなし」が向いている、私のオハコにせよといわれ、練習させられたことを思い出しました。(笑)
歌が嫌いなわけではないのですが、15年前に突発性難聴になって高音が聞こえなくなり、新しい曲はもう私の中にはほとんど入ってきません。
なので、昭和の懐かしのメロディになってしまいます。ま、歳ですしね。
久方ぶりのカラオケは、声は出ないし、音程はあやふやながら、それなりに楽しい1時間を過ごしました。
声を出すというのは、健康にはよいとのことで、おしゃべりや歌うことは積極的にやった方が脳の活性化にもつながるとか、老人へのお勧めの一つです。
巷では、「年寄りは集団自決せよ」という成田助教の声に賛否両論ですが、私自身は自分が役に立たなくなったら、深沢七郎さんの「楢山節考」のように姥捨て山に行こうと思ってはいます。
でも、それは自分の気持ちであって、誰かに「集団自決」を迫られたり、映画「プラン75」のように国に勧められたら、「ゼッタイ、迷惑かけても生きてやる!」って頑張り抜きます。
役に立たないもの、経済に結び付かないものを切り捨てるという風潮が強くなっている昨今、「人は皆違っていいのだ。誰もが生きる権利があるのだ」ということを、だからこそ世の中は成り立ているのだということを知ってもらいたいと思います。
まともな想像力があれば、誰も必ず歳をとるのだということも、誰もが死ぬのだということもわかるはずですが。
想像力のない人が増えてきているようで、困ったものです。
脚本力
出身ライターの佐野誠さんが、日曜日に行われた朗読劇の報告においでくださいました。
前にちょっと書きましたが、千葉県旭市で行われた朗読劇「渋沢栄一翁ゆかりの青い目の人形物語」が19日に上演されたのです。
今から100年ほど前に全国に日米友好の証として渋沢栄一翁を通して「青い目の人形」が1200体も送られました。
「友情人形」として子供たちは喜び、日本からは市松人形をお返しに送りました。
ですが、第二次世界大戦で敵国になったアメリカから送られた人形は、「友情人形」から「敵性人形」に変わり、焼き捨てられたりしたのだそうです。
でも、中には可哀そうだと思われた人がこっそり隠して全国で300体余りが現存しています。
その中のいくつかが旭市にあり、「青い目の人形」をもとにプロの俳優・芸人・歌手・落語家の方々、朝日幼稚園さくら組の園児たち、先生、アマチュア劇団の方々、あさひ少年少女合唱団、老人ホーム楽天堂のお年寄りの皆さん、4歳から95歳までの幅広い市民の皆さんが出演する朗読劇を作り上げました。
佐野誠さんは、脚本だけではなく、構成・演出も手伝われ、400人以上の観客のみなさんが、喜んでみてくださいました。センターのスタッフの一人は旭市出身で、お母様とお友達も観にいってくださり、お褒めを預かりました。よかった!!
佐野さんは、「寝ちゃうんじゃないか」と心配されたそうですが、2時間超の朗読劇を楽しんでくださって、誰一人寝てなかった。(笑)
プロとアマが混在する朗読劇というのも珍しいですが、しかも4歳から95歳までの幅広い年齢層の方々が出演するという、それを飽きさせない工夫、構成をした佐野さんの脚本力がものを言ったようです。
観客も出演者、裏方も、とても楽しんでいただけたと旭市から、私にまでお礼をいただき嬉しかったです。
佐野さんは、2017年に銚子電鉄を描いた「トモシビ 銚子電鉄6.4㎞の軌跡」の脚本を手掛けていたこともあり、これからも千葉県にご縁があるかも。(笑)