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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

対立

TOKYO MER 走る緊急救命室(日経BPムック)

一億総シナリオライター化

シナリオ・センター代表の小林です。4月というだけで、気持ちがばたばたしている気がします。
明日はシナリオ8週間講座の開講で、どのくらいの方がいらしてくださるのかワクワクしています。
シナリオを通して、表現の自由を楽しんでもらいたいし、人に伝えるための技術を身に着けてほしいのです。

最近、ニュースを見るたびに、お上の発言を聞くたびにヒシヒシとタモリさんのいう「新しい戦前」を感じるので、楽しいことは後回しにしない、やりたいことはすぐやる、できる時に今やっておかないという気持ちがとても強くなっています。
で、一番なにをしているのかといえば、美味しいものを食べ続けているのですけれどね。ホント、好きなことしかしていない。(笑)

シナリオほど自分のことだけではなく相手を考えないと描けないものはないかもと思います。
アクションを起こされたら、リアクションをどう返すか、アクションを起こしたら、どういうリアクションが返ってくるか、四六時中対峙し、想像しないと描けないのがシナリオですものね。
だからこそ、シナリオを日本中の人に書いてもわなくっちゃと。

TOKYO MER 走る緊急救命室

4月28日に映画が公開されるので、「TOKYO MER 走る緊急救命室」のオフィシャルガイドブックが出ました。
昨日の日曜劇場は、「TOKYO MER 走る緊急救命室」のスペシャルをやっていました。
相変わらずの、いや、連ドラの時以上の迫力に圧倒されながら見ていました。

オフィシャルブックを読んでみると、制作する側の苦労がよくわかりますが、それ以上に創るということの楽しさが伝わってきます。
ドラマを創るときの発想というのは人それぞれだと思うのですが、新井一がストーリーは23通りしかないといっているように、パターンをどう変化させるかです。
黒岩さんは「病院を舞台にした救命救急のドラマを」と依頼されたとき、「病院を舞台にすると、ゲストの患者さんがきてどう病を治すかという話になる。僕はもっとスピード感があって、オペシーンがアクションに見えるような全く新しい医療ドラマをやりたかったので『災害などの現場に出ている医師たちを描きたいです』と話をしました。(略)もう一つは医師や看護師はもちろん消防の救命隊員も含めて全員が頑張って、チームで危機を乗り越える物語にしたいと思いました。」と。
また監修のお医者さんたちとも話をされ、「その場でオペができる車があったら最高です」という声を聞かれて、実在しない「ERカー」という発想になられたとか。
人の話しを聞くって大事ですよね。そこからどんどん発想が生まれます。シナリオハンティングの一つでもあります。
話しは違いますが、このドラマのERカーは本物のお医者さんの願い、ドラマがきっかけで実現できたらいいですね。

黒岩さんの創りのうまさは、常に対立関係をとてもうまく創っており、どちらも正解であり不正解の正義なので、悩ましいのです。
とはいえお上以外ですが。ここにはまったく正義はないですからね(笑)
スペシャルドラマの厚生労働大臣なんて利権しか考えていなかったですから。現実の話しかと思っちゃいました。
連ドラでは医療技官の音羽と喜多見との対立、映画では新しくできた横浜MERのチーフとの対立、どちらも正しいから、観る側はどうなるの、どうすればいいのと引き込まれるんですね。
映画では「待っていたら助けられない命もある」、「待っていなくちゃ救える命も救えなくなる」とバリバリ対立するようです。

ドラマは、葛藤・対立・相克を描くことですが、この対立がどちらも正しければ正しいほど葛藤も相克も深くなるのです。
黒岩さんの手腕に脱帽です。
是非、映画館で黒岩さんのシナリオの妙技を楽しみながら、勉強してみてください。

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