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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

伝える

鳳凰祭四月大歌舞伎 パンフレット

佳き日

シナリオ・センター代表の小林です。今日も夏日の表参道。
神宮外苑は新緑がキラキラして、爽やかな風を運んでくれてまぶしいくらい綺麗です。
樹々の美しさだけでなく樹々がもたらす浄化作用を、つまらないビルや人口的な公園などの環境破壊と引き換えるなど、人類滅亡に導く第一歩と思ってしまうのは私だけではないと思います。
坂本龍一さんが亡くなる間際まで訴えていたことは、人類の未来にかかわるからだと思います。
人間にとって大事なものは何か、お金だけで人は生きていないことに気が付くべきです。

昨日は、ちょっと早引きをして歌舞伎を観に行ってきました。
鳳凰祭四月大歌舞伎の夜の部です。お目当ては、「与話情浮名横櫛」。
名台詞でおなじみのあの「お富さん」です。
吉右衛門丈亡き後、私の推しは片岡仁左衛門丈。
今回は、片岡仁左衛門丈の切られ与三郎、坂東玉三郎丈のお富という、もうこれ以上ありえない、一世一代、今生観れるかどうかわからないという配役に、もうなにがなんでもゼッタイ見たいと、必死にチケットを取りました。
正面ではありませんでしたが、3列目の花道そばという席で、花道芝居が目の前で繰り広げられる、「眼福」「目の保養」とはこういうことを言うのだと一人心躍りながら見ておりました。
体調不良で休演もされたので心配していましたが、いやいや美しい、きりっとした立ち姿、与三郎の落ちてもどこまでも変わらない品の良さ、肩にかける手ぬぐいの、尻端折り(しりぱしょり)の、仕草一つ一つに惚れ惚れしてしまいました。
受け手であるお富さんの玉三郎丈は、洗い髪の、化粧の、指先のひとつひとつの所作まで行き届いた繊細な動き、見せ方・・・、お二人のゾクゾクするほどの色気に魅了された一夜でした。

継承

歌舞伎だけでなく、時代が移るにつれ名優がいなくなってしまいます。
この見事な芸を、伝統美をこれからの若手がどう受け継いでいけるのか心配ですが、昔と違って口伝だけでなく、映像が残せるので仕草などは昔以上に学ぶことができると思います。
でも、わかるとは思うのですが、それだけでは伝わらない。本質は見えないもの。
映像に映らない役者の心意気、役の掴み方を感じていけることが大事なのだと思います。
これはすべてに通じることなのでしょうね。

今週の日曜日は、148期シナリオ作家養成講座の説明会です。
先日も講師会で、リアルとオンライン併用のハイブリッド授業を、よりよいものにするにはどうすればいいか侃々諤々やり取りをしましたが、やはり一番は心かなと私は思っています。
私はわかりにくい時は「教える」という言葉も使いますが、新井一は「伝える」という言葉を使います。
私は、後藤から「講師が教えるという上から目線を持たないために、伝えるという言葉を新井先生は使われていた。でも、本質は創作の上では講師も受講生も対等でなので、シナリオの技術を教えるのではなく、伝えるのだ」と新井が言っていたと聞きました。
新井一にとっては自分が創ったシナリオ基礎技術を、教えるというのではなく伝えていきたい、継承してほしいという気持ちが強かったのかもしれません。
「技術を伝える」というのは、歌舞伎でもシナリオでも、どんなものでも同じなのだと思います。
23日日曜日の説明会は、創立53年目の新たな継承者との出会いの場となります。

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