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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

人間って

悪い女(朝日文庫)

人権

シナリオ・センター代表の小林です。10月です、もはや。
今日の東京は湿度も低くなって、風も爽やかで秋の風情を見せてくれています。
爽やかな秋となるのかと思いきや、インボイス制度が10月1日から54万人もの反対署名を無視して始まり、8月の2・5倍、4600品目超が値上がりするのだそうです。
大好きなキューピーマヨネーズもふんだんに使えないようになるんだぁ・・・。

それなのに、お上は「増税メガネ」と揶揄されたことに怒っているとか、まともな経済政策ができれば誰もそんなあだ名はつけないと思いますけれどね。
私は、何かというと支援策を出せばいいと思っているお上に腹立ちが止まりません。
抜本的なことは何一つせず、その場限りのまったくの場当たり政策で、お金持ばかりが肥え太り、下々は死ねと言えないから仕方なく形ばかりの支援ってかんじで・・・、生活保護申請も増えているというのに、7人一人の子どもが貧困だというのに。
この人たちは下々の怒りは取る足らないと思っているに違いありません。
エッフェル塔で観光写真の松川議員を副幹事長にというのもどうかと思いますが、人権侵犯を認定された杉田議員を辞職勧告することもなく自民党の環境部会長代理にするって、与党は人権というものを全く考えていないという表れとしか思えません。
この国のお上は、人権というものを無視する人たちばかりだということでしょうか。
私たちは自分たちでしっかりと人権を守りましょう。

悪い女

警察小説でおなじみの出身作家吉川英梨さんの、今までと違った女性を描いたミステリーが出ました。
「悪い女」(朝日文庫)
今までの多くの女性主人公は、女性犯罪捜査官の原麻希も、13階シリーズの黒江律子も、海蝶の忍海愛も最近出たばかりの「桜の血族」の桜庭誓も、みんな男顔負けの職業をこなしているのですが、今回の藤堂玲花は全く違って、美人でスタイルもいいセレブ妻という設定です。
異色作に思われそうですが、実は吉川さん、デビューは『私の結婚に関する予言38』で、第3回ラブストーリー大賞エンタテインメント特別賞を受賞されているのです。
警察ものだけが彼女のテリトリーではないのです。

高級住宅地自由が丘の中でもセレブなサン・クレメンテ自由が丘は、広大な敷地に公園もプールもバーベキュー施設もあり、警備員が常駐し、わずか20戸に住んでいる住民に招待されない限り外部の人は入れないほどのセレブ館。
そこに住む玲花は名門女子高の出身で、ある日同じ出身校の菜々子の家族が引っ越してくるところから物語はじまります。
主人公玲花、夫の藤堂優太、玲花の元英語教師辻沢、元担任のヤベキョウ、出身と名乗る大泉菜々子、親友だった楜沢由香、サンクレメントの女帝美優、カフェの店主水木、何か一波乱起こしそうなキャラクターの創り方にまず翻弄されます。
何か起こりそうな波乱に満ちた人物関係に、そこに見事なほどの伏線が織り込まれ、なによりも高校時代と現代とが交互に描かれる構成が見事で、もうどんどん読み進んでいってしまいます。
あらすじは言わない、いや言えない怒涛の展開なので、なるほどこうきたかと読み進んでいると、こちらの予想を裏切られる次の展開が待っているという具合で、私の想像性のなさにへこみながら読ませていただきました。
ストーリーではなくシーンを描けと、シナリオの基礎技術では申し上げていますが、一つ一つのシーンの濃さというのは、こういうものだと思いました。
小説なのに、シーンづくりが見事です。

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