ある日のこと。戸田市立笹目小学校の先生との電話。
「総合の時間はクラスで映画をつくりたいって児童たちと決めまして……。
それで、やるのなら本格的なものを目指そう!ということで連絡させていただきました」
「なるほど。みんなの中でどんな映画を作りたい、とかあるんですか?」
「それが、今クラスのみんなで盛り上がってるのが、ホラー映画で」
「ホラー!! 面白そうですね」
「はい。でもどうやって、作っていったらいいか……」
ぜひ、キッズに“いい(ホラー)映画”をつくってほしい!
その背中をちょっとでも押せたら!ということで、
キッズシナリオの出前授業に行ってまいりました。
シナリオ・センターの“シナリオの技術”で
映画づくりをナビゲートするのは、
昨年 映画監督デビューを果たした田中和次朗。
そのアシスタントを担当した私、講師の藤吉智子がリポートします。
=======今回の概要=========
・サービス名 本格的な映画(ホラー)をつくろう
・目的 総合学習で映画をつくる!
・対象 埼玉県戸田市立笹目小学校さま(6年生)
・時間 約90分
※キッズシナリオの詳細
https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
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いい映画ってどんな映画?
教室に入ると、ワクワクの表情で田中と私を見つめるみなさん。
担任の先生曰く、みんな今日の授業を楽しみにしてくれていたみたいです。
ワクワクとともに「今日の話を聞いて、いい映画を作るぞ!」
という意気込みも感じられます。
でも、そもそも“いい映画”ってなんでしょうか。
早速、みんなと考えてみました。
――“いい(ホラー)映画”ってさ、どんな映画のことを言うのだろう?
みんなからどんどん声があがります。
「面白い映画!」
そうだよね、観た人が面白い!って思う映画はいい映画と言えるよね。
「ドキドキハラハラする映画!」
おー!いいね。ホラーならそれって本当に大事だよね。
「変人がいる映画!」
みんな大笑い!
でも、予測がつかない言動を起こす人がいるホラー映画はハラハラドキドキに繋がるかもね。
などなど。みんなの意見、ぜーんぶ正解です!
きっと一人一人の中に、自分の中の“いい映画”のイメージがあるんですね。
ただ実際には、みんなで1つの映画を作るので、
同じ“いい映画”のイメージ像をもって、進めていきたいですよね。
“いい映画”にするためにも、“いい映画”つくるためにも、
「テーマ」を押さえてみるといいよ!とお話ししました。
テーマを押さえる
“いい映画”って、観ているときに何か感じるものがあります。
ONE PIECEなら「仲間って大切だな」とか、
SPY×FAMILYなら「家族の思いやりってあったかい」と
心に訴えかけてきますよね。
それは、作り手側が感じてほしいことを決めているから。
一言で言うならテーマと言います。
テーマを決めておくと、“いい映画”に繋がっていきます。
また、これをみんなで1つに決めておくと、
どんな“いい映画”をつくろうとしているのか、
みんなが同じ方向を向いて作品づくりができるようにもなります。
それはホラー映画だって一緒。
ホラー映画をつくるとき、「いじめはよくない」をテーマにするのなら、
「襲ってくるゴーストが実はいじめを受けていた子どもだった」というシーンをつくってもいいし、「いつも友達をからかっている “いじめっこ”がゴーストから同じことをされて、これまでの事を反省する」というシーンを作ってもいい。
こんなふうに、テーマを決めるといろいろなアイデアも浮かんでくるんです。
ホラー映画を通して、何を観ている人に伝えたいか・感じてほしいかを1つ
クラスで考えてみるのが、“いい映画”づくりのオススメポイント!
みんな「なるほど〜!」と頷いてくれました。
“いい映画”についての理解は深まったけど、
テーマを押さえるだけで、面白い映画になるの?
――ということで、面白くする方法もナビゲート。
最初に、「いい映画ってどんな映画?」と聞いたとき
「変人がいる映画!」と答えてくれた人がいましたよね。
人に焦点を当てたこと、お見事です!そう!
“登場人物のキャラクター”を考えること、これが面白さの秘訣なんです!
キャラクターを考えよう!
面白い映画って登場人物と一緒にハラハラ・ドキドキしてみちゃいますよね。
それは登場人物に感情移入しているからです。
特にホラーは、登場人物と一緒になって恐怖を感じたりします。
「違う違う、そっち行っちゃだめ!」などと身を案じたりします。
だからそんな人物たちのキャラクターを魅力的に描く必要があります。
そこで、みんなでキャラクターを考える練習をしました。
例えば、青山ひかるくんという12歳の男の子がいたとして、
青山くんの得意なこと、苦手なこと、どんな性格かを考えてみます。
サッカーが得意。だけど虫が苦手な優しい性格の子。
そんな彼が、オバケを見た時どんな反応をするだろう?
友達を助けようとするかもしれない。
オバケはへっちゃらなのに、みんなが逃げていく中、
虫が怖い青山くん森には入れない……。
キャラクターが決まると、次どうなるのか?と面白くなってきます!
シナリオを書く練習!
*
みんなそれぞれ青山くんのキャラクターを決めて、
実際にシナリオを書く練習もしました。
勉強が得意な青山くんだったり、臆病な青山くんだったり、
それぞれ青山くんのキャラクターが違います。
この青山くんだったらどんな思いで行動し、どんなことを言うのか。
続きが気になる面白いシナリオばかりでした。
そして、あっという間に授業もおしまい。
今日は、みんなで“いい映画”について整理をして、
面白くするためにキャラクターを押さえて、
シナリオを書く練習もしました。
盛沢山だったけど、みんなに伝わったかな、
混乱してないかな、とちょっと心配していると……
先生によると実はもう、
カメラマン、役者さん、小道具さんなど、役割が決まってるんですって!
コツをつかんだみんなは、今にもカメラを持って走り出しそうです!
笑顔のみんなを見て、私たちも嬉しくなりました。
「どんなホラー撮りたい?」
「もしかしたらホラー映画じゃない映画を撮るかも……」
えーーー!!!
でも、いいんです!
今日お伝えしたことは、ホラー映画じゃなくてもどんなジャンルでも、活用可能だからです。
田中も私も応援しています!
まずは一度、練習で動画を撮ってみて、出来上がったら見せてくださるとのこと。
どんな作品ができあがるのか、今からとっても楽しみです!
* * *
今回ご紹介したみなさんのように、映画をつくりたいと思っている子どもたちや、その他PR動画をつくりたいと思っている子どもたちもいると思います。
もし「子どもたちが目指す“いい動画”を実現するためにどう導いたらいいだろう……」とお悩みでしたら、ぜひ今回の記事を参考にしてください。
また、出前授業はオンラインでも可能です。東京・神奈川・埼玉だけでなく、全国どこでも実施可能ですのでお気軽にお問い合わせください。
ご参考までに、オンラインで実施した模様も是非ご覧ください。
▼子どもたちの映画作り。まずは脚本から@和歌山県市立野崎小学校
▼取材で聞いた話や実話を元にストーリーを作る/@呉市立広南中学校
※その他、いろいろな学校で実施したキッズシナリオも模様もご覧ください。
▼コミュニケーション力 を上げるシナリオ研修 事例まとめ
※おすすめ書籍
▼新井一樹 企画・構成・著 改訂版 『いきなり効果があがるPR動画の作り方』(「シナリオ教室」シリーズ/言視舎/執筆 川村千重・内藤麻貴・田中和次朗)