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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

土壌づくり

本屋B&Bにて 政池さんと新井の対談

シナリオ・センター代表の小林です。昨日は、弊社の新井と出身ライターの政池洋祐さんの本屋での対談があり出かけていきました。
下北沢の本屋B&Bは新たな場所に引っ越して、新しくできた南西口を出てまっすぐ、公園みたいな遊歩道を5分ほど行ったカフェだの竹細工だの発酵食堂など今風の感じのお店が並ぶビルの2階にありました。
下北沢に行くたびに道筋が変わっていて、毎回私の頭の中にある劇場だのの場所がわからなくなり、迷子になることが増えているのですが(笑)、ここは1本道でわかりやすくホッとしました。

本屋さんでの講演って、私は大好きで、なんでしょうね・・・本に囲まれているせいか安らぐんです。
B&Bはそんなに大きくはありませんが、こじゃれた本の配置、カフェの併設、本の選び方、並べ方が独特で、そこにいるだけでワクワクします。
そんな中で見つけました。面白い変わった本。
菅修一さんという方の「観察の練習」(NUMABOOKS)。
写真と気づきの文章で構成されているのですが「良い気づきを得るためには観察の練習が必要」という筆者はならではの視点が魅力的な本です。
もの書きには洞察力だけでなく観察力が大切で、それが作家性、作家の目を養うのではと思っています。
久々に大型書店では出会わないであろう一冊に巡り合いました。

新井の「シナリオ・センターが伝える14歳からの創作ノート」の出版記念イベントのためにお伺いしたのですが、センター生もいらしてくださって、とても盛り上がりました。
その後政池さんとご一緒に飲みにいきました。
出身ライターの方とおしゃべりするのはとても楽しく、勉強になることがたくさんあり、政池さんの人となりの魅力を十二分に感じさせていただいた一夜でした。
シナリオ・センターをやっていてよかった・・・。ありがとうございました。

厭戦

昨日は、柚木麻子さんの戦争の悲惨さをどう伝えるかのお話しを紹介させていただきました。
8月は、広島・長崎の原爆の日、そして敗戦記念日と、日本にとって忘れてはならない、常に感じていなければならない大事な月だと思っています。
なので、しばらく戦争のお話しをさせてください。
15日の敗戦記念日、私はあえて終戦記念日ではなく敗戦といいます。終戦というと自ら終えたように聴こえますが、負けて占領されたということをわかっていなくてはいけないのです。
お気づきでしょうか。79年経った今でもアメリカ軍の日本にある基地は沖縄だけでなく治外法権だし、横須賀基地はカリフォルニア州で、パスポートを持たないと入れません。

辻真先さんが、8月15日にインタビューを受けていらっしゃいました。
私の子どもの頃からアニメ、特撮の脚本家として毎日のようにお名前を拝見していたすごい脚本家のイメージが強いのですが、後年ミステリー作家として活躍されていらっしゃいます。
その中の一冊で、88歳で書かれた「たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説」は経験を基に戦争の傷跡を描いた作品でベストセラーになりました。
現在、御年92歳になられたのだそうです。そんな戦争経験者の辻さんが、自ら「反戦ではなく厭戦」と語っておられます。
ご自身の経験から、
「実際に戦争を経験している人は、反戦というより厭戦、手塚治虫先生もそうだと思います。
いったん戦争の木が育ち始めたら、いくら反戦を叫んでも間に合わないんですよ。
木が生えてくる前の土壌に、とにかく戦争は嫌なんだという『厭戦』の養分を入れていくしかないと思うんです」
「厭戦という土壌がないと反戦の花は咲かないんじゃないか、それでもたいていの場合はあだ花に終わるかもしれません」
「やっぱり教育というのは子どもの頭に残るんですね。
僕が小学校へ入った頃は1年生の国語の教科書に『ススメ、ススメ、ヘイタイ、ススメ』があった。
小学校の教科書を見れば、その国がどちらの方向へ向かって進んでいるのかが分かるかもしれません」
「僕はアニメの脚本を数えきれないほど書いてたけれど、アニメや漫画が愛国教育に使われることだってあります。(略)
子どもたちに『戦争は正義だ』と思わせてしまうものだってあるかもしれません。
今すぐには効果は見えないけれど大人になった頃効いてくるようなね」
若者に伝えたいことは
「正義や道徳は一つじゃないということですね。
世の中には色々な正義があって、一方通行じゃないことを知っておけば『戦争は正義だ』に疑問を抱くことができる。
厭戦を言い続けるには、それが一番大事なんじゃないかな」
辻さんは今も創作を通して、厭戦を語り、反戦の土壌を作られています。
創作の力というものは大きく、どんな形でにもなるのです。
作家の力は、創作の力は偉大です。
だからこそ、それぞれの作家の目を大切に、何が大事なのかを考えながら、創作の力を反戦につなげていきたいと思います。

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