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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

変化

柚木麻子のドラマななめ読み!(フィルムアート社)

どこへいった?

シナリオ・センター代表の小林です。私人の谷川俊太郎さんが亡くなって寂しいと思っていた矢先、俳優の火野正平さんの訃報。次から次へと一時代を築かれた方々が・・・急な寒さとともに心も寒いです。

それにしても兵庫県知事選って、すごい選挙運動を展開していたのだなぁと驚くと同時に唖然としました。
反斎藤派の県議が、「言葉の暴力、ネットの暴力が拡散し、家から出ることも難しい状況で、家族を守るのを優先する」と辞表を出すって、ありえない話です。
斎藤氏の「援護射撃」が目的で、報道機関や県議会を批判する異例の運動を展開したのはN党の立花氏。選挙中、彼のユーチューブの動画再生数は約1500万回を超えたとか。
その援護射撃と旧統一教会などの力添えを得て当選されたのだそうですけれど、SNSの脅威もさることながら、他の候補者を応援するために立つっていうのも、すごいやり方ですね。

白票は有効だとか、当選したから百条委員会なくていいなど等、全く考えずに口先だけでものを言う知識も教養もないコメンテーターたちやお上の都合の悪いことは報道しない大手メディアが信用されなくなって、十数年経ってしまいました。
なので、大手メディアの言うことは信用できない、ネットの方が真実だと思うようになってしまったことが大きな要因ではないでしょうか。
大本営発表ばかりで、民衆をつんぼ桟敷におく大手マスコミ、ジャーナリストと称する人たちへの警告でもある気がします。
それにしてもこのやり方は痛ましい。もう小さな声は届かない、大仰に動いた人勝ち。人間の品性はどこへ行ってしまったのでしょう。
この選挙は、民主政治の根幹を揺るがした選挙だったと思います。

何を描くか

暑かったせいか、10月期のドラマがもうそろそろ終盤に入ってきたとか、大河ドラマも後何回かだなんて・・・急に気づいて。ああ、もう今年も終わるのですね。

「柚木麻子のドラマななめ読み!」(フィルムアート社)を読みました。
柚木さんが如何にドラマが好きで、どれ程ご覧になられていて、それもただ楽しんでいるだけでなくさりげなく分析してみていらっしゃる姿勢に圧倒されます。
帯に「私は日本のドラマによって作られてきた」と書かれているように本当にドラマが大好きなんだということがバンバンすごい熱量で伝わってきます。
記憶力のない、認知症テストを受けたらめちゃくちゃやばい私とはくらべものにならない、イヤ、比べては大変失礼なくらいに、すごいのです。
あるドラマのことを話すのに出演者の役柄や物語の流れなど、他のドラマと比較したり、昔のドラマまで引っ張ってくる・・・記憶力のさることながら、ドラマとドラマが繋がっているということがわかるのは、しっかりと分類もされているということですよね。
私にはできない・・・涙

柚木さんは、「虎に翼」をご覧になりながら、社会問題に正面から切りこむ姿勢は、日本ドラマの分岐点になるかとおっしゃっています。
「共同親権や改憲問題、外国人排斥といったトピックがニュースに持ち上がるたびに、まるで見てきたかのようなストーリーが展開され、過去と現在が地続きで、何ら変わらない面も、そうかと思うと先人たちの努力でよい変化が起きた面もあると、気づかされる。
回を追うごとに、こちらの世の中への解像度迄上がっていく。
なによりも脚本を務める吉田恵理香の一歩も引かない勇気とフェミニズムが素晴らしい。どのセリフからも、社会をより良くしてきた先人に自らも続く意思がみなぎっていて、作り手としてリスペクトと共感でいっぱいである。
本当に本当にありがとうございます。とこの場を借りて申す上げたい」(一部抜粋)

さすが柚木さん。私もまさに同感です。
ドラマは、物語を通して、私たちが求めていることも、おかしいと思うことも伝えていける力を持っています。
それだけに、作家性がとても大事なのだと思います。
作家自身が何を見聞きし、どう考えどう思っているか、自分としての姿勢をきちんと持ち、伝えていく方法をみつけていく、自分らしい作品を生み出す根源ではないかと思います。

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