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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

表現

『運のいい人』は神社でなにをしているのか(ポプラ新書)

不確かな時代

シナリオ・センター代表の小林です。今年の大雪は例年を遥かに超えて怖いくらいですが、チベットの地震、ロサンゼルスの山火事など、世界中で災害が起こっています。
神の怒りか、地球の怒りか、ろくでのない人間への警告と思ってしまうのは、私だけでしょうか。
気候も社会も不確かな時代になって、朝日新聞の「不確かさを越えて」の特集のお話しを昨日も書きました。
恐山菩提寺院大の南町哉さんは「言葉を取り戻すことです。(略)
感情というのは液体だと思います。
器に入れないと、その重さも色も味もよくわからない。
自らの感情に意味を与えるためには器すなわち言葉が必要なのです」とおっしゃっていて、昨日も三島有紀子監督とこの話しになり、言葉にすることは大事だよねと共感してしまいました。それこそ映像のお仕事ですし。

同じくこの特集の中で脚本家の野木亜紀子さんは、ドラマでの人間の描き方について話しながら、人として大切なことを話されていました。
野木さんの脚本家としての佇まいは、創作を志す者の指針になることと思ます。
「どのように人間を描くか。
今は共感を強く求める『共感型社会』です。
ただ、それを突き詰めていくと、自分と考えが違う人には共感ができない、だから嫌い、排除する、みたいなことになっていってしまう。
登場人物に対する『このキャラ、嫌い』といった反応を見ると、年々、キャパシティーが狭くなっている気がします。
共感だけでなく、自分と異なる他者を知ることが必要だと思います。
自分と他者が如何に遠いもので、それでも認め合うことができるのか。
ドラマや映画は、そうした複雑な現実を描くことができるものであると思います。
情報のスピードが上がり、早く判断するために、物事がどんどん単純化されていき、白か黒か、正義か悪か、という構図になっていく。
だけど、完全な正義も完全な悪も、世の中には存在しません。でも、人は、すぐ答えを求めてしまう。
自分自身もそういうところがないとは言えない。
だからこそ、難しいけれど、何とかそうじゃないところを描いていけたら、と思っています。」

心せねばと思います。エンタメの力を信じたいです。

「『運のいい人』は神社でなにをしているのか」(ポプラ新書)

新年なので、最高の癒しとエンタメの世界をご紹介します。
なんとあのストーリーブランディングの川上徹也さんが、今までにないご本を出されました。
「『運のいい人』は神社でなにをしているのか」(ポプラ新書)

え~、川上さん、スピリッチュア的な本を出されたの?と思っていたら、さすが川上さん、「神社は日本最強のエンタメであり、広い世代を取り込む注目のビジネスモデルである」
なるほどです。老いも若きも、金持ちも貧乏人も広い範囲の人たちが参拝しますものね。

川上さんの専門のマーケティング理論から読み解く御利益の導き方は、祈ればいいというものではありません。
基本は「祈る=お願いをする」のではなくて、誓いをたてて宣言するのがよいと。
心理学でいう「アファメーション効果」が期待できる、社会学者のロバート・K・マートンが提唱している「自己成就的予言」ともよばれる理論だそうです。
「○○を叶えてください」というより「○○に役立つよう頑張りますので見守っていただければ」とか。
確かに神様に見守ってもらうことで、勇気をもらえますし、なにより自分に対して揺らぐことなく心が決まるように思います。
「叶えて!」ではなく「ご加護を仰ぐ」のです。
神社から「運をもらう人」は、神様頼みではないということのようです。
己の決意を形に表すということでしょうか。

私も川上さん同様神社仏閣好きで、よく訪れます。旅行に行ったら、必ずコースの中にいれています。
でも、自分ことは祈りません。自分以外のお願いはします。
川上さんの本を読んでわかったのですが、きっと自分のことをお願いすると自分に負けてしまう気がするからかもしれません。
確かに「見守ってください」であれば、自分で頑張るって宣言するわけですから、気持ちが引き締まるし、うまくいかなくても神様を恨むこともないし、とはいえものすごく心強いですから。

ここ10年くらいどこでも必ずお願いするのは「子どもたちに輝かしい未来がありますように」です。
今の社会情勢を見ると胃がキリキリ痛むくらい切実ですが、私が如何ともしようがないので、ひたすらお願いをさせていただきます。
日本は八百万の神様ですから、どの神様もお願いを聞いてくださったら八百万エネルギー(というのか?)になるわけで、すごいんじゃないかと、勝手に信じています。
先日は、もうひとつ病気になったスタッフの「完全快癒」をお願いし、お願いした神社ではすべてお守りを買い、当人に渡しました。御利益があったのか、完璧とは言えませんが元気になりました。よかった。

私は無宗教ですし、宗教に頼りたいという気持ちはないのですが、それでも、神社仏閣に行けば二拝二拍手もします。
川上さんが書かれているようにマインドフルネス効果、森林浴効果、感謝効果、プラシボー効果等があるのか、爽やか気分になることは間違いありません。
この本にはイチ推しの神社リストもついています。
参拝したことのない神社もたくさん載っているので、ぜひとも出かけてみようかと思います。

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