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“いつか”と言わず、“今”、書く
第50回城戸賞 佳作受賞 宮崎和彦さん

“いつか”と言わず、“今”、書く/第50回城戸賞 宮崎和彦さん

第50回城戸賞。応募作品数480篇の中から大賞1作品、佳作3作品が選出。
宮崎和彦さん(作家集団)の『ひらがなでさくら』が佳作を受賞されました。

城戸賞は“シナリオ界の芥川賞”と称されています。「念願だった城戸賞。応募し始めてから8年目で受賞しました」と語る宮崎さんにお話をお聞きしました。

宮崎さんはこれまでどのようにしてコンクールに挑戦してこられたのか、今回の受賞作はどのようにして生まれたのか。「いつか書きたいと思っている」という方も、次回の城戸賞に応募される方も、それ以外のコンクールに応募される方も、是非参考にしてください。

第50回城戸賞 佳作を受賞して

=あらすじ==
太平洋戦争末期のルソン島で、学徒兵の西達治は英語が話せたが故に生き延びる。そして戦争の心の傷が癒えないまま迎えた1948年の春。西を訪ねてきた学友の安斎勇から、8月に実施する「日本人の読み書き能力調査」の調査委員会に誘われる。乗り気ではなかったが、幼い頃から想いを寄せる森川洋子と再会し、見栄を張って調査の仕事をすると言ってしまう。活動していく中で、今回の調査の成績が悪かったら、日本語が廃止になるという噂を知るが、「言葉が違うから戦争が起きる」と感じていた西は、日本語がなくなっても構わないと考える。しかし洋子から、出征前の夫と、女の子が生まれたら名前をひらがなで「さくら」にしようと約束していたという話を聞き、洋子のためにも日本語を守ろうと決意する――。

〇宮崎さん:シナリオ・センターに入ってから、いろいろなコンクールに毎年応募しています。映画シナリオが書きたいので「城戸賞には必ず出そう」と初稿は毎年いつも5月に仕上げると決めています。城戸賞に応募し始めて8年目くらいになるんですが、初めて受賞しました。

今回の城戸賞は、「第47回シナリオS1グランプリ(S1)」に、2つの部門でそれぞれ出す2作品と同時進行で書いていたので、計3作品を完成させるのは大変でした。

でも、S1に応募した『グッバイマイホーム』(『月刊シナリオ教室』2024年12月号に掲載)で準グランプリをいただき、城戸賞でも佳作をいただけて、同時期に2つも受賞できたので、本当に頑張った甲斐がありましたね。

受賞作『ひらがなでさくら』について

〇宮崎さん:そもそものキッカケは、何年か前に観たNHKのバラエティ番組。1948年(昭和23年)に「日本人の読み書き能力調査」が実施され、一説では日本語の存亡を賭けたものだったと云われている、というのを知って、とても印象に残っていました。

でも、すっかり忘れていまして、国立駅の階段を上る途中で、「そろそろ城戸賞のネタを考えないとなぁ」と思った瞬間、この調査のことを思い出して「これだ!」と。その年の募集には間に合わなかったので、次の年に出そうと準備を始めました。

まず、とにかく国会図書館に通いまくって、日本語能力調査をまとめた資料や実際のテスト問題、その解答など、たくさんコピーして、分厚いファイルにまとめました。社会背景となる戦争や歴史関連の本もたくさん読み、調べるだけで2・3ヶ月かかりました。

審査員の方からは、「今回は戦争モノの応募が多かったが、他と違う切り口が珍しかった。敗戦後GHQによって、日本人がどのくらい日本語ができるかを調べる調査が行われたという歴史の知られざる秘話を知ることで、母国語へのイメージが変わったのが良かった」と褒めていただきました。

また、タイトルの『ひらがなでさくら』も褒めていただけて。これは、実際のテスト問題の第一問目なんです。「ひらがなでさくらと書いてください」という書き取り問題で、これを見たときに「これだ!」と。

そこから、子供が生まれたら、さくらと名付けたいという女性との恋愛があり、彼女のためにも日本語を守りたい!という主人公の動機付けが生まれました。

今回の作品では特に、キャラクター設定がとてもうまくいったんじゃないかなと思っています。

『ジョジョの奇妙な冒険』の荒木飛呂彦先生の『荒木飛呂彦の漫画術』 (集英社新書)という本に、「そのキャラクターにとって怖いことは何か」と書いてあって、私は常にこれを意識しています。

なので今回も「登場人物それぞれがどんな恐怖をもっているのか」ということ、あと、「何を求めているのか」ということも突き詰めました。だから受賞できたのは荒木先生のおかげですね(笑)。

最後に、城戸賞など脚本コンクールで受賞を目指す方々にメッセージを

〇宮崎さん: 私は『ゴルゴ13』に出てくる「俺たちの世界では未熟な者に“いつか”は決して訪れない」というセリフが好きなんです。 “いつか”と言わず、“今”、書く。私も、プロの脚本家として書き続けていけるよう、これからも精進したいと思います。

『月刊シナリオ教室 』(2025年2月号 )に宮崎さんのインタビューと受賞作のシナリオを掲載。併せてご覧ください。

*     *     *

※これまでもシナリオ・センターの生徒さん・出身生の方々が城戸賞で受賞されています↓

第49回城戸賞/準入賞受賞 長濱亮祐さん、佳作受賞 キイダタオ さん

自分の想い・仕事・経験を物語にするとき/第48回城戸賞受賞 竹上雄介さん・島田悠子さん

【物語を作る事が好きな方注目】第47回城戸賞佳作受賞 島田悠子さん

自分の作品を人に見せる 勇気/第46回城戸賞 準入賞受賞 島田悠子さん

妄想から物語を作る/第45回城戸賞 佳作受賞 弥重早希子さん

※「脚本コンクールに出したい!」という方はこちらの記事も併せて↓
主なシナリオ公募コンクール・脚本賞一覧

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