今回、お話を伺ったのは脚本家の兵藤るりさん。
2024年10月期に放送された『マイダイアリー』(朝日放送テレビ)の脚本を担当されました。
本作は、社会人1年目となった主人公が各話、ささいなことがキッカケで、過去の大切な思い出を振り返るという構成で、大学時代をともに過ごした仲間との何気ない日常とその繋がりを描いた物語。
何気ない日常を描く。
これは、創作をする方々にとっては大きなテーマではないでしょうか。
今回ご紹介する兵藤さんのコメントを参考に、もし自分が日常を描くとしたらどう書くか、是非考えてみてください。
『マイダイアリー』について
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=あらすじ==
社会人1年目の恩村優希は映画を観終わった後、言葉少なに冷めたポップコーンを食べ続ける大学の同級生・徳永広海を切なく見つめている。やがて空になったポップコーンボックスをゴミ箱に捨てる優希。その瞳にはなぜか涙が……。そして優希は、大学時代を共に過ごした広海、そして長谷川愛莉、白石まひる、和田虎之介との思い出を綴った日記を読み返す――。
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「マイダイアリー」第1話120秒予告〜ポップコーンと優しさ〜
〇兵藤さん:『マイダイアリー』のプロデューサー・清水一幸さんとは、以前、朝日放送テレビの深夜ドラマを書かせていただいたときに知り合いました。
清水さんから「新しいドラマを、今まで作ったことがない人と作りたいのですが、どうですか?」とお声掛けいただいたのがキッカケです。
清水さんと話し合いながら最初は「大学生が主役の話にしよう」というところからスタートしました。そこから、どういうキャラクターをメインにするのか、といった設定を徐々に組み立てていきました。
自分としては、登場人物それぞれが生きてきた過去とか、それを乗り越えていく姿を“日常”の中で切り取る作品にしてみたいなと。そういう気持ちを以前からもっていたもので。
私は木皿泉さん脚本の『すいか』が大好きなんです。このドラマを観たときに、日常の描き込みのすごさに圧倒されて。それがキッカケで、人の日常を観察したり、日常の中でちょっとした“ドラマ”を感じたりすることが好きになりました。だから、日常をどう描くかを考えて、実際に書いているときはすごく楽しかったです。
それから今回、自分の日常が描かれているような、友達の日常を覗いているような、そんな見せ方をしつつ、「普通って何だろう?」ということを考えてもらえるように意識しました。
最近世の中で「普通であること」のハードルがすごく上がっていると感じていて。いろんな人がSNSを通じて「自分はこうなんです」と一言で言えてしまうがゆえに、「この人と比べて私はこうだけど、これでいいんだっけ?」みたいなことを、考えさせられることが多い気がしていて。
「普通って何なんだろう?」みたいなことが、すごく揺らいでいる世の中だからこそ、そういう部分を自分事として観てもらえるような作品にしたいと思いました。
シナリオ・センターでの思い出&これから
〇兵藤さん:私はずっとドラマが好きで、大学に入学してからはシナリオ・センターに通っていました。そのときに、自分がアタマの中で考えたり、想像したりしていることを、脚本で表現する楽しさを知ったんですよね。書き続ける体力が身についたことは本当にありがたく思っています。
今後は、自分がこれまで全然書こうとも思っていなかったものに、挑戦していきたいですね。日常を描き込んでいく、というのは、『マイダイアリー』を書かせていただいたおかげで、方法論のようなものを自分の中で見つけ出せた気がしています。そこにもっと新しい要素を加えたらなと思っています。
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なお、『シナリオ教室』(2025年2月号)には兵藤さんのインタビューを掲載。
併せてご覧ください。
https://www.scenario.co.jp/online/34876/
※シナリオ・センター出身の脚本家・監督・小説家の方々にいただいたコメントも是非。
▼脚本や小説を書くとは/シナリオの技術を活かして
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