「総合的な学習の時間(総合)」を使い、班に分かれて、商店街のお店について調べた横浜市立大岡小学校3年生の皆さん。
「商店街の地図を作って、商店街のPRをします。さらに、そこ描かれたお店にQRコードを貼って、お店のPR動画を観れるようにしたい!!!でもでも、どうやって動画を作っていいのやら。どこから手を付けていけばいいか分からない……」
--とお悩み中。
お任せください!
ということで、シナリオ・センターの田中が皆さんにお伝えした模様をレポート。
“みんなが伝えたいことを、動画を観る人にしっかり届ける方法”をご紹介いたします!
=今回の概要==============
・サービス名:「商店街のお店のPR動画を作りたい!」(全1回)
・目的:総合での取り組み:動画づくり
・対象:横浜市立大岡小学校さま(3年生)
・時間:各約90分
※キッズシナリオの詳細
https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
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商店街の良さを動画に!
大岡小学校は横浜にある弘明寺(ぐみょうじ)に位置します。
弘明寺といえば、弘明寺かんのん通り商店街↓
312mものアーケードが架かり、組合加盟店舗数は119店。飲食店や食料品店、衣料品店などが軒を連ね、参詣土産のお菓子や地ビールなども売られている横浜屈指の商店街です。
大岡小3年生の皆さんは、商店街にあるパン屋さんや和菓子屋さん、着物屋さんなどにインタビューを重ね、班ごとにPR動画を制作することになりました。
田中、教室に入ってびっくり。
教室の壁には、それぞれのお店の魅力がぎっしり書かれたプリントがずらり。
皆さんの本気度に感嘆!
でも。
このものすごい情報量、2・3分のPR動画に入るのかな、
と一抹の不安が……。
そして。
皆さん、沢山調べたから、PR動画で伝えたいことがいっぱいあるんだろうな、
と思いまして、まずは「テーマ」についてお話しさせていただくことにしました。
伝えたい「テーマ」を定める方法
テーマ(※)とは、作品を通して伝えたいことです。
取材で沢山の情報を得たら、撮影する前に、テーマを決めます。
コツは、シンプルに一言で決めること。
※テーマについてはこちらの記事も是非。
▼総合学習で動画をつくる/@横浜市立蒔田小学校
でも、それってどう一言にまとめたらいいの?
って思いますよね。
既に取材をしている場合は、取材した内容の中から、「一番伝えたいことはこれだ!」とすぐに決まるケースもあります。
でも、「いいところがいっぱいあって、どの部分をどうPRしていいやら……」と迷った場合は、こちらの2つの方法、
①ひっくるめて型
②えらんでつなげて型
のいずれかを試してみることをおすすめします!
①ひっくるめて型
「ひっくるめて型」は、伝えたいことがいくつかあるとき、全部をあわせて、一言に集約するパターンです。
どの班も、お店を調べたときに、そのお店のいいところを掲示物に書き出していました。
例えば、和菓子屋さんを調べた班は、PR動画で伝えたい「いいところ」として
・品揃えの良さ
・商品へのこだわり
・清潔な店内
を挙げていました。
いいですね!どれもPRしたいところです!
田中、皆さんにちょっと聞いてみました。
「品揃えの良さ」と「商品へのこだわり」と「清潔な店内」という3つを全部ひっくるめて、“一言”で表現するとしたら、どうですか?この3つの要素が全部入った「テーマ」になる言葉って何だろう?
すると、皆さんから
・『お客さん第一』をテーマにするのはどうですか?
・『和菓子職人のすごさ』をテーマにするのはどうですか?
・『また来たくなる和菓子屋であること』をテーマにするのはどうですか?
と声があがりました!
おお!上記どれも見事に、
「品揃えの良さ」の要素も、
「商品へのこだわり」の要素も、
「清潔な店内」の要素も、入っていますね。
もしも、班の中でいい伝えたい要素がいろいろ挙がって「その要素もいいし、この要素もいいよね」となったら、「ひっくるめて型」で考えてみるといいんじゃないかなと思います。
②えらんでつなげて型
「えらんでつなげて型」は、伝えたいことがいくつか出たとき、まずは調べたうちの1つをテーマに選んで、その他のものはそのテーマにつなげる、というパターンです。
さきほど、和菓子屋さんのPR動画で伝えたい「いいところ」として
・品揃えの良さ
・商品へのこだわり
・清潔な店内
が挙がりましたよね。
で、例えば、班のみんなで話し合って、この3つの中から「商品へのこだわり」をテーマに決めたとします。
でも、テーマに選ばれなかった
・品揃えの良さ
・清潔な店内
は、決して「ボツ」になったわけではありません!
「商品へのこだわり」をテーマにした動画につなげられるかもしれないのです。
例として、ちょっと考えてみましょう。
「商品へのこだわり」を感じてもらう動画にするために、
・契約農家から仕入れた小豆を使っている
・職人歴50年の店主が熟練の技で手作りしている
ことを紹介するとします。
で、この
・契約農家から仕入れた小豆を使っている
・職人歴50年の店主が熟練の技で手作りしている
に、さっきの、
・品揃えの良さ
・清潔な店内
を、“つなげ”られないか、考えてみます。
例えば、「契約農家から仕入れた小豆を使っている」というエピソードに、「品揃えの良さ」をつなげてみます↓
・契約農家から仕入れた小豆を使っています。厳選されたおいしい小豆を使っているから、いろいろな種類の和菓子に使えて、結果、このお店ではバリエーション豊かな商品ラインナップになっています。
こんなふうに、つなげてみると、調べたことも無駄にせず盛り込めるのです。
もうひとつ例を。
「職人歴50年の店主が熟練の技で手作りしている」というエピソードに、「清潔な店内」をつなげてみます↓
・熟練の技で手作りの和菓子を作るのは、職人歴50年の店主さん。毎日清潔な店内を心掛けるのも、こだわりぬいた和菓子を作るために必要な習慣なのかもしれません。
こんなふうに、つなげてみると、よりこだわりを感じさせるエピソードになりそうですね!
どうでしょうか。
「契約農家から仕入れた小豆を使っている」だけのエピソードよりも、
「職人歴50年の店主が熟練の技で手作りしている」だけのエピソードよりも、
「商品へのこだわり」を感じさせる内容になったと思いませんか?
もしも、班の中でいいテーマがいろいろ挙がって、その中で1つに絞ったとしても、選ばれなかった……、と悲しまず、「えらんでつなげて型」で考えてみるといいんじゃないかなと思います。
最後には「画(え)コンテ」も。
テーマの定め方をお伝えした後は、「画(え)コンテ」(※)についてもご紹介しました。
※「画(え)コンテ」についてはこちらの記事をご覧ください。
▼ロング バスト アップ を意識/@新渡戸文化小学校デジタルクリエーションクラブ
皆さん、「このお店のこんなところをこんなふうに伝えたい!」と、撮りたい映像を思い浮かべながら、楽しそうに「画(え)コンテ」を描いてくれていました!
この調子で、皆さんが伝えたいことが、観る人にしっかり届くステキな動画を作ってくださいね。
そして、撮影する前には、今回ご紹介した「テーマの定め方」と「画コンテを描くこと」を実践してみてください。動画の完成を楽しみにしています!
※動画を作るときはこちらの書籍も参考にしてみてください↓
▼改訂版 『いきなり効果があがるPR動画の作り方』(「シナリオ教室」シリーズ/言視舎/企画・構成・著:新井一樹 /執筆:川村千重・内藤麻貴・田中和次朗)
※いろいろな学校でキッズシナリオを実施中。事例をご紹介しておりますので、「うちの学校にも来てほしい!」ということでしたらご参考までにご覧ください。
▼コミュニケーション力 を上げるシナリオ研修 事例まとめ