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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

言葉

「犬と戦争 がれきの町に取り残されたサーシャ」(KADOKAWA)

辞書

シナリオ・センター代表の小林です。急に春の陽気と言われても、花粉症の方が大変・・・という方が多い東京・表参道です。
かたや、大雪で泣かされ、温度が上がれば雪崩や落雪で泣かされる日本海側の皆さんは、いかがなものなのでしょうか。

3月8日の国際女性デーを前に、広辞苑などの辞書に女性差別、男尊女卑を助長する言葉がなぜ載っているのかという議論があったそうです。
確かに、差別、女性蔑視の言葉は数多くあります。
独り者女性に対して「売れ残り」「男勝り」「オールドミス」「いかず後家」「出戻り」とか。
結婚したらしたで「内助の功」(夫が外でしっかりと働けるのは、家を守る妻の働きがあるということ)や「夫唱婦随」(夫が言い出し、妻がこれに従うこと)など。
女性差別、男尊女卑、家父長制の名残がうかがえる言葉がたくさんあり、未だに何気に使われていることが多いですよね。
差別の言葉を、何故広辞苑に載せるのかという問いに担当の方は
「差別語の背景を知らないと差別に加担する恐れがある。
広辞苑には日本語を隠すことなく記録し、正確に解説する使命がある。
人を傷つけ得る言葉に出合った時は、それが生まれ定着した背景や理由も考え、言葉の価値判断は読者が行うもの。
時代の変化に伴い項目自体を削除することはない」と話されています。
小説「舟を編む」、ドラマでも拝見しましたが、「言葉」の重要さ、辞書というものの大切さを感じ、作り手の言葉選びの葛藤こそが時代を映しているのだと思いました。
確かに、「言葉は社会の縮図であり、女性蔑視の言葉は男性中心の社会から生まれた」ものです。
私は、女性蔑視の言葉が定着した背景を考えることは、社会を大きく変える力なるはずだと思っています。
だからこそ、創作する者、言葉を使う私たちは、常に言葉の重さを考えていかなければならない、そこに創作者の使命があるのだと思うのです。

犬と戦争 がれきの町に取り残されたサーシャ

脚本家であり、小説家の舟崎泉美さんの新刊本が出ました。
今渦中のウクライナのお話しです。
「犬と戦争 がれきの町に取り残されたサーシャ」(KADOKAWA)

このお話しは、ドキュメンタリー映画を作られる山田あかね監督の映画が基になっています。
山田監督は、戦争で命を落としている犬や猫を想い、ウクライナに飛び立ちました。
そこで戦争の中でも各国の動物愛護団体が犬猫を避難させている姿を見て、3年間ウクライナに通い、「犬と戦争」(2025年2月全国ロードショー公開)という映画を作られました。
そんな山田あかね監督のお話しを基に、ロシアが急に侵攻してきて、ポーランドへ避難する際に空爆に合い、離れ離れになった少女ソフィアを探す子犬サーシャの物語が生みだされました。
「大好きなソフィアに会いたい」その一心で怪我をしても諦めずに彷徨っていた子犬のサーシャ。
危険な戦地の中命がけで小さなに命を救い続ける人間がいてサーシャを助ける、本当にあったお話しを基に希望と愛を描いた物語になりました。

戦争は、人間はもちろんのこと、犬猫などの命も忘れ去られます。
どんな理由を作ろうと、戦争に正義はなく悪でしかありません。
人が人を殺してまで欲しいもの、叶えたいものがあるということ自体が間違っていると私は思います。
この本は子犬と少女の愛を描くだけではなく、どんな時にも命がけで小さな命までも救おうとする人もいること、多くの人に戦争の悲惨さを伝えるだけなく、何が大切なものかを改めて考えさせられる本です。
大人にも読んでもらいたいです。

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