昨年12月に公開され、5/14(水)Blu-ray&DVDが発売される映画『うちの弟どもがすみません』。原作はオザキアキラさんによる同名マンガ(集英社)。脚色を手掛けたのは出身ライターの根津理香さん。
根津さんは社会人として働きながらシナリオ・センターに通い、作家集団(柏田クラス)在籍中に『ブロッコリー』で「第18回フジテレビヤングシナリオ大賞」大賞を受賞。
その後、連続ドラマ『ライフ~壮絶なイジメと闘う少女の物語~』で脚本家デビュー。テレビドラマ『絶対彼氏~完全無欠の恋人ロボット~』『でたらめヒーロー』『ヒミツのアイちゃん』、テレビアニメ『擾乱THE PRINCESS OF SNOWAND BLOOD』、映画『君に届け』『虹色デイズ』「劇場版アニメ『聖☆おにいさん』」などの脚本を手掛けていらっしゃいます。
『月刊シナリオ教室』(2025年3月号)には映画『うちの弟どもがすみません』のお話を中心にお話ししていただいたインタビューを掲載。こちらのブログでは主に「脚色する際に意識されたこと」と、「どうすれば書くことと日常生活を両立していけるか」についてのメッセージをいただきました。
「物語を書きたいけど、毎日忙しくて両立が難しい……」とお悩みでしたら特に、根津さんのコメントを参考にしてください。
映画『うちの弟どもがすみません』
原作を脚色する際に意識されたこと
=あらすじ==
女子高生の糸は大好きな母と、母が再婚する新しい父との穏やかな生活に憧れていたが、なんとその父には4人の連れ子がいた。しかも、父の転勤が決まり、いきなり姉弟5人での生活がスタート。糸は戸惑いながらも、常に冷静でスマートな次男・洛や人懐っこい四男・類に助けられながら、持ち前の明るさと面倒見の良い性格で弟たちと打ち解けていく。しかしクールな長男・源はいつもぶっきらぼうで、ミステリアスな三男・柊は部屋にこもってばかり。糸は2人の心を開こうと奮闘。そんな中、源の言動が家族を思ってのことだと気づいた糸は彼のことが気になり始めるが、柊が糸に特別な気持ちを抱いたことで、事態は思わぬ方向へと転がっていく――。
▼松竹チャンネル/SHOCHIKUch 本予告
〇根津さん:今回の作品に限った話ではないのですが、原作のある作品はいつも「お預かりしてる」という意識で脚本を書きます。
ゼロから生み出した我が子同然の作品を、私に預けてくださった。その信頼を忘れないように、その作品を大切に育てて、多くのお客様に観てもらいたい。原作者の先生からすれば、自ら生み出した作品は、可愛い子どもだと思うんですよね。
それを都合よく、映画やドラマのフォーマットにはめてしまうことだけは、絶対にしたくないと思っています。
とはいえ、映像化するためには表現を変えなければ成立しない。漫画で成立する表現が、生身の俳優さんが演じる実写映像では不可能なこともあります。
じゃあ何を大事にするかと考えたときに、やっぱり自分が一番最初に「この作品が好き」って感じたところだと思うんですよね。で、それはどんなところかというと「登場人物のキャラクター」。
なので、その登場人物がしないことは、絶対に書かないようにしています。
そのために、私は脚本を書く前にまず、原作の中で「これは絶対大事!」と感じたセリフを全部書き出します。というのは、どうしてこの登場人物はこのセリフを言ったのか、気持ちの流れや価値観、そして原作者の先生が伝えたいことなど、“セリフが生まれた経緯”を理解して、自分の中に落とし込みたいからです。
こうすることで、原作を読んだときに感じたことを、映画を観た後にも感じていただけるのではないかなと思っています。
書くことと日常生活を両立していくためには
〇根津さん:ご家庭のことをやりながら、シナリオ・センターに通っている方も、たくさんいらっしゃると伺いました。仕事をしながら通われている方も、そうでない方も、様々な環境の中で、いろいろな想いを抱えてシナリオに取り組んでいる皆さんは、それぞれ努力されていると思います。とてもすごいことです。
だからこそ無理をせずに、続けてほしいと思います。
私は昔、仕事を含めいろいろ抱え込みすぎたせいで、身体も心も壊してしまったことがあります。そうなると、勿体ないと思うんですよね。
だから、続けるのがしんどいときは、ちょっと休憩していいと思います。できないときは、できないで大丈夫。自分がまたやれると思えたときに、再開できればいいんです。無理せず、できれば楽しんで続けてほしいなと思います。
実は、昔から『連続テレビ小説』(朝ドラ)を書きたい!と思っているんです。なので、それが実現するまでは書き続けたいなと。
憧れがあるんですよね。岡田惠和さんの『ちゅらさん』はすごく夢中になって観ていましたし、最近では吉田恵里香さんの『虎に翼』も面白かった。朝からこんな気持ちになれるドラマって素晴らしいと思うんですよね。
いつ書けるか分からないし、永遠に書けないかもしれない。だけど、とりあえず今は、朝ドラを書くことを目標に、続けていこうと思っています。
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※シナリオ・センター出身の脚本家・監督・小説家の方々にいただいたコメントも是非。
▼脚本や小説を書くとは/シナリオの技術を活かして
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