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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

韓日対訳創作シナリオ選集で、互いに学ぶ。

シナリオ・センター代表の小林です。やっと10月らしい陽気になりました。
もはや、10月も終わり、あっという間に今年も・・・なんだか夢幻の如く感じる毎日です。

 

韓国というと、最近どうも国同士が仲が悪いイメージになってきていますが、韓流ドラマや韓国映画は、今も人気です。
人は、誰もが唯一無二の存在なのですから、みんなが同じ考えではありません。
個々の思いや考え方は、違って当たり前。同じ国民だって色々ですし、まして国が違えば、環境が違うのですからもっと違うのは当たり前。
どんなときも、どんな人と対しても「すべての人は違うのだ」ということを念頭においておきたいものです。

 韓国シナリオ集

脚本家の津川泉さんが、韓国映画界の長老金志軒さんの作品を翻訳した本を出されました。
「韓日対訳創作シナリオ選集」です。
金志軒さんは、1950年代から韓国映画界の指導的な一人として活躍されてきました。数多い作品のなかから、作家自身が5本選んだ作品を津川さんが翻訳されたのです。
ここに選ばれた作品5本のうち、4本は映画化に至らなかった作品だそうです。
何故、それをご本人は選ばれたのでしょう。

映画評論家の佐藤忠男さんによれば、
「今日、韓国映画は国際的にも広く認められ、その実績によって、相当野心的な、芸術的、社会批判的、あるいは高踏的な企画も実現するようになっているが、このシナリオ集に収められている作品が書かれた時代はまだそういう時代ではない。
しかし、映画化はされていなくても、こういう志の高いシナリオが書かれていた。
つまり、現在のある状況を一歩も二歩も超えようとする熱い理想と情熱があった。
それをどういうものであったかの一端をこのシナリオ集によって知ることができるのである。
明らかに今日の韓国映画の高い水準は、これらの映画化されなかったシナリオによって準備されていたと言える。」(シナリオ201311月号から)

 この映画化されなかった4本は、作家の理想がとくに深くこめられていた作品なのだそうです。
作品集の中で映画化された「晩秋」は、日本でリメイクされています。
石森史郎さんの脚本で、斎藤耕一監督、岸惠子・萩原健一さん主演で「約束」。1972年公開され、大ヒットを飛ばしました。
韓国でもリメイクされているそうです。 

 

韓国映画、ドラマの脚本は、日本のシナリオ技術が元になっています。金さんも、日本の映画シナリオを読んで学ばれたそうです。
シナリオ・センターの創設者新井一のもとに、20数年前になるでしょうか。
シナリオ・センターのノウハウを韓国シナリオ協会のシナリオライター養成学校座で使わせて欲しいと韓国シナリオ協会の副会長崔さんがおいでになりました。
毎年、副会長みずから勉強においでになり、新井が一生懸命お教えさせていただいたのを覚えています。
新井一の「シナリオ基礎技術」「シナリオの技術」とも韓国語訳され、韓国で売られています。
韓国と日本、お国柄は違いますが、映画ドラマを作る志も心意気も同じです。
いい映画を創りたい、面白いドラマを作りたい・・・それぞれの脚本を通し学び合いたいものです。

 この「韓国対訳創作シナリオ選集 金志軒」は限定本です。
月刊シナリオ・映画芸術各社25部ずつ限定販売。販売価格2500円(送料含む)

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