シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。外は雪が舞っています。昨日とうって変わってのお天気。地球全体、壊れ気味ですね。
何気にテレビを見ていたら、「日本はこのままでは戦争ヘ向かってしまう」瀬戸内寂聴さんの声に、戦慄が走りました。
都知事戦で、なんと徳島からはるばる瀬戸内寂聴さんが訴えにいらしたのです。
戦争を知らないこどもたちの私と違って、戦争を体験し、戦争へ向かうまでの道のりをつぶさに見てきた瀬戸内さんら先達たちの声は、実感なのだろうと思います。
わざわざ四国から声を届けにいらした。
今それほど大変な状況なのだということを私たちも考えるべきかと思います。
日本は、文化を大事にしない国です。
経済を優先して、人としてどう生きるべきか、何が大切なのか考えることを捨てている国です。
お金はないより、あったほうがいい。でも、ふんだんにある必要があるかといえば、人それぞれです。
お金=幸福という図式が、すべての日本人に当てはまらないことを、お上は知るべきです。
本当に悲しいことですが、何度も言いますが、日本は「文化」をなおざりにする国です。
だからこそ、一般の国民自身がどこかで「文化を守る」ために「経済優先の国から文化を育てる国へ」と変えていかなくてはならないと思います。
そのひとつとして、映像文化の保持・継承に、脚本家も立ち上がろうとしています。
2012年日本脚本アーカイブズ推進コンソーシアムが設立されました。
これは、2003年当時日本放送作家協会理事長だった亡くなられた市川森一先生が、「脚本アーカイブズ活動の必要性」を説かれ、協会内にまず準備室を作られ、散逸、消失していく危機にある脚本、台本を保存しようとされたところから、ようやく10年近くたって設立されました。
市川先生の御遺志を山田太一先生が継いで、大きく動き始めました。
1980年以前のテレビ作品はほとんど遺されていないそうです。その頃はビデオもまだ普及していなかったせいもありますが、「映像は消えるもの」とさほど遺す重要性を考えられなかったのかとも思います。
映像が残っていないのであれば、脚本をせめてなんとか遺産としてとどめようというのが、日本脚本アーカイブズ推進コンソーシアム第一目標だそうです。
2月11日(火・祝)13:30~17:00 東京大学 福武ホール(ラーニングシアター)
で、「脚本アーカイブズ一般公開へ向けて ~アーカイブズの現在と未来」と題してシンポジウムが行われます。
脚本に携わる私たちは、脚本の重要性を知るために、脚本の本質を知るためにも、聴いておきたいお話かと思います。
基調講演「脚本文化を子どもたちへ」
基調講演「アーカイブズ公開に関わる法的諸問題と解決の方向性」
シンポジウム「脚本アーカイブズの未来に向けた方向性」
http://www.nkac.jp/ FAX 03-5210-7021 入場料は無料ですが、ご予約が必要です。
「想像力は他人を想う心」と瀬戸内寂聴さんは常日頃おっしゃっています。
ドラマとは人間を描くこと。他人を想い、考えること。
私たちは、これから遺産として後世に遺せるような、人を大事に描いたシナリオを書いていきましょう。