シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。日本劇作家協会が「集団自衛権行使を認める閣議決定に抗議し撤回を求める緊急アピール」を出されました。
もの書きの主張は、大事です。
鷹井伶さんこと井上登紀子さんが、新刊本を持ってきてくださいました。
井上登紀子さんは脚本家としてのお名前、鷹井伶さんは小説家としてのお名前です。
歌舞伎など時代ものがお好きで、とても詳しい井上さん、時代もののドラマ注文が今までなかったなんて信じられませんが、シナリオは、書かれたことがないのだそうです。
なんと、もったいない・・・せっかくのお力を活かすチャンスはないものかと思っていましたら、さすが、やはり力をちゃんとお持ちであれば、わかっていただけるのですね。
今や時代小説の世界で、お力を発揮されています。
今回3冊目にあたる新刊は、「廓同心 雷平八郎(一)~百花乱れる~」(富士見新時代小説文庫刊)
前作「ご赦免同心 辻坂兵庫」(学研M文庫刊)も同心ものなのですが、ここが鷹井さんのすごいところ。
同心でも、ただの同心ではない、目のつけどころが新鮮です。
前作は、ご赦免同心・・・冤罪を晴らすために力を注ぐ同心でした。
今回は、廓同心・・・吉原という遊郭に勤める同心なのです。
百花繚乱、美しき咲き乱れる女の園、吉原遊郭を舞台に、北町奉行所の定町廻り同心お吉原勤番、雷(いかずち)平八郎が主役です。
名前の通り、雷(いかずち)平八郎は、剣の腕が立つ仁王様のようないかつい面構えの大男。
あまりに強面なので、女性に恐れられ、色恋に落ちたこともなく、自分自身で「お勤め第一、女など不要」「剣豪宮本武蔵も肉欲を禁じたではないか、おれもそうする」と真面目に思い込んでいる男。
しかも、早世した父親に代わりに彼を育てた母親は、女弁慶と言われるほどの偉丈夫。そんな母親に厳しく育てられたので女は怖いものと思っているというなかなかのキャラクターです。
キャラだけでも話がひとつできそうですね。
イケメンではない主役ですが、女嫌いの彼だからこそ、吉原遊郭の勤番をどう勤めるかも面白いのですが、ここにお家騒動がからみ、公儀隠密が暗躍し・・・と、次から次へと事件がおき、どうなっていくのかわからない面白い展開です。
で・・・いいところで、なんとなんと、「続く」ですって。(笑)
「廓同心 雷平八郎(二)」は9月発売とか、早く読みたい・・・ちょっとイライラしている私です。