シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。台風がまた近づいているとのこと。大きな災害にならなければよいのですが、最近の天候は想定外が多いので心配です。みなさん、お気をつけください。
昨日の秋分の日は、122期シナリオ作家養成講座の説明会を行いました。
休みの表参道は、いつにも増して人が多くにぎやかで楽しいムード。
そんなふわふわの雰囲気の中に混じりながら説明会にいらっしゃった皆さんは、本気度がすごいに違いないと気が引き締まる思いで、始めさせていただきました。
80名強の参加者の方にシナリオ・センターの特徴などをお話しさせていただきながら、新井一に想いを馳せました。
実は、来年、新井の生誕100年になります。ちょうど創立45周年と重なるので、盛大にお祝いをしたいなあと思っています。
新井一の「シナリオ基礎技術」がなければ、今日のシナリオ・センターはありませんでした。もっとさかのぼれば、撮影所の片隅でスタッフにシナリオを教えていなければ、シナリオを教えるということすらなかったと思います。
多くの人にシナリオを教えたい、シナリオを書くことで自分の考え、想いをきちんと持って表現してほしいと願ってシナリオ・センターは生まれました。
そんな新井の想いが、600名強という業界一多い出身ライターを生み、コンクール入賞者が続出する力を生み、おかげさまで今日3500名弱の受講生が、それぞれの想いを形にしながら、全国津々浦々で学んでくださり、2010年から始めたシナリオを使った研修に参加された方々も2500人を越えました。
草葉の陰で、新井も応援してくれていると思います。
122期に入学される皆さんも、確実に力がつくシナリオの基礎技術を楽しく学んでいただけたら嬉しいと思います。
新井ことを書いていたら、韓国シナリオ作家協会副会長の崔先生からお電話をいただきました。
東京へおいでになるので、その時に会えないかというお電話でした。
崔先生は、韓国の日本でいうところの文化勲章をいただいたほどの方ですが、日本へおいでになるたびに、どのようにシナリオを教えたらよいのかと新井に学びにいらして、真摯にシナリオ教育に向っておいでで、釜山にシナリオ作家協会付属学校を創られたほどでした。
シナリオには日韓の壁はありません。これが創作という力なんですね。
前にもご紹介しましたが、脚本家の津川泉さんは、韓国の脚本家金志軒さんの作品に共感され「韓日対訳創作シナリオ選集」を共訳されています。
日本でも金志軒さんの作品「晩秋」を翻訳リメイクして「約束」(石森史朗脚本・齋藤耕一監督 1972年)という映画史上に残る名作を生み出しています。
金さんの作品は、社会の底辺に生きる人々への暖かいまなざしと彼らを差別し翻弄する社会への厳しい目を持っていらっしゃる脚本家です。
韓国語と日本語の対訳になっているこの本は、限定本で現在50冊ほど残っているそうです。
お申し込みは、「映画芸術」または「月刊シナリオ」編集で販売しています。
新井の想いも、崔先生の想いも、津川先生の想いも、金志軒さんの想いも創造の中で息づいています。
人種や思想の壁を越えて、想像力・創造力は大きな力だと思います。