シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。昨日の「映像も小説もどっちも美味しい欲ばり講座」最終講は、小説家の大山淳子さんでした。
講談社TBSドラマ原作大賞を受賞されて、小説家としてデビューされた大山淳子さん、原作大賞をとられた「猫弁」はご自分の脚本で、テレビドラマ化しました。
主役は吉岡秀隆さんと杏さん。シナリオにうるさいと定評のある吉岡さんにシナリオがいいので出演すると言っていただいたので、色々な役者さんがOKしてくださったとか。
小説も脚本も、ぶっちぎりの面白さの大山さんの秘密を公開します。
大山さんは、43歳の時に公募コンクール講座を受けて、自己流でやってきたけれど基本が大事だということを感じられて、シナリオ作家養成講座に入られ、研修科、作家集団までいきました。
研修科で20枚シナリオをしっかりと30本書かれたのですが、ここに大山さんの秘密があります。
研修科では、推敲しないで20枚シナリオを発表。
推敲しすぎると思い入れが深くなって頑固になって、カチンと来たりしてしまい、他の人に言われたことを素直に受け取れなくなるからだそうです。
他人に言われたことは素直に受け止め、必ず反映する。
そして、誰に見せるわけでもないのに、言われたことを反映させて書き直しをされていたのだそうです。
20枚シナリオはシーンを考えることなので、シーンに人となりがでるので、見せ方だけでなく、長編につなげていけるのだと。
「猫弁」は、研修科の課題「弁護士」、城戸賞受賞作の「三日月夜話」、小説「雪猫」も研修科の課題から発想したものだとか。
これが大山流ゼミの使い方。
20枚シナリオがディテールの勉強だということがわかっていらっしゃったからこそ、ネタとして引き出すことができたのです。
素直に他人の声を受け止め、反映できるって、すごいことです。
普通はなかなかできません。大山さんはきちんと客観的にものをみる姿勢をお持ちだったのですね。
大山さんも筆を折りそうになったこともあるそうです。
坐骨神経痛で座ることも動くこともできず、寝たっきりになられたことがありました。
その時に、担当の柏田から「天井を見ていても何か思いつくでしょう」という励ましの手紙をもらい、「そうだ!」と思い、その後出来上がった作品が函館港イルミナシオン映画祭シナリオコンクールのグランプリになった「通夜女」。
ただでは転ばない(笑)
想像することは、どこでもいつでもどんな状況でもできる・・・想像の翼は折ることを知りません。
大山さんは、シナリオも小説も共通点は、登場人物+視聴者または読者の気持ちを考えることだとおっしゃいます。
だから、面白く楽しい作品を書かれることができるのですね。
3月から連載、4月に単行本の出版、現在3本が同時進行の上、文庫化の校正とめちゃくちゃお忙しい大山さん。
あんな細いお身体でどこにエネルギーが潜んでいるのか・・・お身体に気を付けてご活躍を楽しみにしています。