シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センターの小林です。今日はミモザの日、春めいています。
昨日、出身ライターの後藤剛さんの偲ぶ会が、渋谷のレストランで行われました。
後藤さんの仕事仲間、シナリオ・センターの友人たちが25人ほど集いました。
いくつかの偲ぶ会に列席させていただいたことも、新井一の偲ぶ会もやっていただいたこともありましたが、こんなに心暖まる偲ぶ会はなかなかないと思いました。
幹事のH嬢に、後藤さんの漫画原作の師匠大石賢一さんが、「もしかして、後藤君の彼女?」と思わず訊いてしまうほど、細やかな気配りで行き届いた会となりました。
心を込めて送りたい・・・恋人でもないのにそうしてあげたい、誰もが後藤さんを偲びたいと・・・亡くなった後藤さんはそういう方だったのです。
小説「猫弁」の作者で、センター仲間の大山淳子さんにいわせれば、本当の人格者。常に笑顔で接し、決して人を批判しない、いつも励ましてくれる人。ご自分が末期がんだとわかっても、笑顔で人のことを考え、励ましてくれました。弱音を見せず、仕事も変らずやり遂げました。最期の仕事は時代劇漫画「大岡越前」後藤さんにも似た清廉潔白のキャラクター、まさに彼自身をみるような仕事だったような気がします。
最期の最期まで、冷静沈着、笑顔を忘れない、まったくかわらない後藤さんでした。
それだけに、「死にたくない!」ともっと感情をぶつけて欲しかったと師匠の大石さんは嘆いていらっしゃいました。
後藤さんは、漫画原作者として数々の作品を書いてきました。今年から講師としてもシナリオ・センターで働いていただくことになっていました。
それなのに、わずか44年の命でした。人の命のなんと心細いこと。
もうすぐ、東日本大震災も2年になります。多くの方が明日を思いながら亡くなられた。さぞかし無念だったでしょう、悔しかったでしょう。
誰もが、命を授かった日から死ぬために生きている・・・いつか誰でも死を迎えるのですが、それでもやはり理不尽だという思いはぬぐえません。
生きるということは、ただその日を過ごすことではない。後藤さんの生き様から、最期の日までどう生きるか、考えさせれ、反省させられた一日でした。
さよなら、後藤さん。また逢う日まで。あなたと接した方々の心の中では、あなたは決して死にません。