シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。先週の金曜日から大阪校の入学式へ行ってきました。大阪はちょうど桜が満開。大阪城の桜と、京都の桜を所長の後藤と楽しみました。後藤は無類の桜好き。東京は盛りをちょっと過ぎましたが、大阪は満開で大満足されていました。
帰りに大阪校の講師の奥様から、関西の春の代名詞いかなごのくぎ煮をいただき、ああ、春だなあと実感しました。
くぎ煮は、関西では春になるとそれぞれの家庭で作られるとかで、毎年いただくのですが、本当に美味しい。うれしい春の味です。
アカデミー賞最優秀脚本賞に輝く土橋章宏さんの時代小説を読みました。
土橋さんがおっしゃらないものですから、2冊目になって知った「遊郭(くるわ)医光蘭闇捌き」(一)(二)(角川文庫刊)を一気に読ませていただきました。
面白い。遊郭医というキャラクターも素晴らしいけれど、なにより、(二)では終わらない、蘭学医で、島帰りで、忍びで、富山の薬売りだった主人公光蘭の出自の秘密、隠された事情と背景・・・、どうなるのか、どんどん読んでしまいます。
忍びだった父親は、本当の両親は違うと言って、母親のものだという筥迫を渡して絶命。脱藩した加賀藩のお姫様との恋と。少しずつ少しずつ見えてはくるのですが、光蘭なにものぞ、そして、なぜ育ての父は殺されたのか、両親は・・・どこまでも引っ張るうまさは、さすがです。
時代小説の面白さは、歴史的事実とか人物とリンクするところもあります。
遊郭医光蘭では山田浅衛門、首切り浅衛門がでてきます。彼も今後光蘭と相当からんでいくに違いない・・・。
「遊郭医光蘭 闇捌き(三)」はいつでるのでしょうか・・・早くしてほしいのですけれど。
遊郭というと、鷹井伶さんの時代小説「廓同心雷平八郎」は廓の中にいる同心の話でした。
おふたりとも、遊郭を舞台に、花魁や女郎の話ではなく、遊郭の中にいる医者や同心という今までスポットが当たらなかった人たちを活躍させる・・・作家の眼というのはこういうことを言うのですね。
目のつけどころが違うということです。
先週から週刊ポストに連載の土橋章宏さんの小説は「駄犬道中 おかげ参り」。
これまた、ただの伊勢参りに終わらせない設定です。
道楽者の博徒辰五郎が翁丸という犬連れでお伊勢参りという設定からして、色々ありそうな・・・。
弥次喜多ではなく犬との珍道中。どんな出会いが、どんな事件が待っているのか、毎週待ち遠しいです。
土橋さんのことだから、こちらの予想ができるような話は絶対書かないだろうし・・・(プレッシャーかけている?(笑))
今日のミソ帳倶楽部は、小説家鈴木光司さんの講演。これまた楽しみです。