シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。不安定な天気と言われていますが、表参道は青空のまま、日が暮れようとしています。
なんだか、天気も社会もわけのわからないことばかりです。
どうせ考えても始まらない、動いても始まらない、何も変わらないと思ってしまうのも仕方のない情勢なのかもしれませんが、こういう時だからこそ、始めたい、動きたい、変えたいと思うことが必要なのではと思うのですが。
先ほど、NHKの篠原プロデューサーからメールが届きました。
亡くなった出身ライター中園健司さんが書かれた「東京が戦場になった日」(Battlefield Tokyo)が、世界的なテレビ祭ニューヨークフェスティバルで部門一位、金賞(GOLD WORLD MEDAL)を受賞されたのだそうです。おめでとうございます。
このニューヨークフェスティバルは1957年創設された、国連が共催している世界最大規模の広告やTV番組、映画、ラジオ番組のすぐれた作品を表彰する団体だそうです。
2014年は、「情熱大陸」(TBS)「ザ・ノンフィクション」(CX)が入賞、NHKも過去ドキュメンタリーでは受賞していますが、ドラマ部門では日本初の受賞だとのことです。
天国で中園健司さんがお喜びになられていらっしゃることでしょう。
中園さんの想いが、世界へと伝わったのですね。本当におめでとうございます。
篠原プロデューサーは、授賞式で「昨年6月、モンテカルロテレビ祭ではモナコ赤十字賞を受賞しましたが、終戦70年にあたる今年、アメリカで1957年からの歴史を持つ大きな映像祭で、このドラマが金賞を受賞したことは意義深いことだと思う」とスピーチされたそうです。
終戦70年の今年、戦後から戦前に移りそうな大きな流れが、大きな力を持って押し寄せています。
篠原プロデューサーもおっしゃっているように、戦争の悲惨さを訴えたこのドラマ「東京が戦場になった日」が、世界中の注目を集め、アメリカのラスベガスで金賞をいただいたことは、本当に意義深いものがあると思います。
被爆国である日本、世界で一番戦争を憎んでいるはずなのに・・・。
中園健司さんは著書の中で、「夢があって楽しいだけの仕事など世間にはおそらくひとつもないでしょう。それでも夢中になれるか、生きがいを見出せるかどうかです。ドラマを書くという仕事は、充分それに値すると思います。」と書かれていました。
ドラマは、社会を変える力もあるのだと思います。
ご自分で探しだした題材で、中園さんの想いをこめて作られたドラマ「東京が戦場になった日」が世界に認められたこと、脚本家として最後まで頑張られたこと、天国でどうか自分を褒めてあげてくださいね。
脚本家中園健司さん、素晴らしいドラマをありがとうございました。