シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター小林です。今日は春らしい朝でした。ちょっと早めに起きて、はると散歩。匂いばっかり嗅ぎまわって、遅々として進まず、犬だって春です。ひなたぼっこをしていると、毛先からもふんわりお日様の匂い、若葉も光っています。
昨日、出身ライターの柏原寛司さんが、今年の河口湖映画祭グランプリ作品を監督してくださるとのことで、作者の渡貫さんと初顔合わせにいらっしゃいました。
映像化するには、シナリオ通りにいかないこともたくさんあります。
特にこの作品では、演歌を歌うシーンがあり、これは著作権上難しいので、そこをどうクリアするかだったり・・・。
で、これから映像化に向けて、綿貫さんは、柏原監督と「直し」に入ります。
柏原さんから、最初に「プロは、直しができないとだめなんだよ。今回は、その稽古のつもりでやりましょう」とお話があり、「直し」とはどんなものか、どう直していったかをつぶさにわかるようにと、ご自分が書かれた某作品(ナイショ)の準備稿から決定稿、撮影稿までの台本をお持ちくださり、プレゼント。渡貫さんは大感激。
こんな素敵な先輩を持っているシナリオ・センターは幸せものです。
どのような映像にするか監督の考えやアイデアもいろいろお話してくださり、なるほどとうなづくばかり。
その中でキャラクターについて言及されて、「主人公はなんで河口湖にいるの?どうしてこの職業なの?奥さんとはどうなの?子供のことをどう思っているの?これからどうしたいと思っているの?女好きなの?(笑)」などなど事細かに。
「人物像は立体じゃなくちゃ、深くならないんだよ。親子の話しだったら、この人のこの部分、恋愛の話だったらこの人のこの部分と、見せるところは部分だけれど、見せない部分もちゃんとできていないとね」と。
例えば、河口湖を使わないといけないわけですから、単純に河口湖にいればいいと思いがちですけれど、そこには河口湖であるべく背景と事情が必要なんですね。
その人となりの全部を描くわけではなく一部なのですけれど、全部がないと一部が光らないわけで・・・。
キャラクターを創るということを、映像にするということ、とてもよくわかるようにお話してくださり、隣で聴かせていただいていた私もただただうなづくばかりでした。
さて、綿貫さんがこれからどのような「直し」を柏原監督とされるのかわかりませんが、きっとすごーく勉強になられることになるでしょう。
作品の出来上がりが楽しみです。
「直し」というのは、本当に難しい。どれだけ他人の意見やアドバイスを聴き、自分の中で消化し、いい形でだしていけるか・・・プロの技量はここにかかっています。
サマーセミナーでも「直し」をやります。こちらもお楽しみに。