シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。梅雨空の毎日ですね。
ウインブルドンのお蔭で、寝不足の毎日。ジョコビッチやセレナなど最強選手が案外苦戦しているのが面白く・・・。松岡修三さんがメンタルが一番大きいとおっしゃっていましたが、心の動きがあるからこそ面白いのです。今イチローが全く打てないのも、ご本人は苦しまれているのでしょうけれど、人として愛おしいです。
いつも平常心だったらロボットと同じ、ドラマは成り立ちません。(笑)
そんな人間の機微を突くのが上手いのが岡田惠和さん。昨日、ミソ帳倶楽部でその秘密をたっぷりお話してくださいました。
でも、ここでは書ききれないので、受講生のみなさんが学ぶための姿勢についてだけお話しします。(のちほど月刊シナリオ教室に採録)
岡田さんの技術以前に、研修時代にやっていなければならないことをお話しいただいたからです。
昔々、シナリオ・センター生徒さん時代は、シナリオ作家養成講座では、生涯初めての皆勤賞を獲得。ゼミでは決して批評家にならない、ほめることを心掛けていらしたそうですが、ご本人の作品については、軽い、ゆるいと言われ続け、褒められた記憶がないそうで(笑)、でも、その時言われたことで鍛えられたと思っていらっしゃるそうです。
自分が書いたものを「何か言われるのが嫌だからみせない」という方がいるけれど、その壁を越えることがまず一歩だとおっしゃっていました。
先輩たちのお話をお聞きするたびに思うことは、皆さんゼミを活用されていらしています。
ゼミは色々な方の見方、考え方、想いを知ることができるいい場所です。あくまで作品内のことですから、傷つくこと、恥かくことを恐れずに上手に活用されてください。
書き手の姿勢として、書き手が自分の書いたものに酔わないこと。自分自身はいらない。投影しないこと。常に対立の目を持たないと多くの人に伝わらないとアドバイスをいただきました。
詰まった時は、つまらないと思っても、ともかく書く、筆を止めないこと。書くことで後からどんどん出てくるものだから。
ちょっとだけ技術にふれますと、うまいシナリオは、ストーリーから創っていないのですね。どの先輩も。
岡田さんはワンシーンワンシーンを面白くしたい、困った何らかの状況におかれたときの行動でキャラがでてくるので、そこを考えるとのこと。
岡田さんは、箱を作らないことで有名ですが、今はマネしちゃダメです。
基本の教えの時には箱をちゃんと作って構成も立ててきたからで、研修中はきちんと箱を作っていないとできないとおっしゃっていました。
箱を作らないということは、何も構成を立てないということではなく、一度作ったものを捨てるという意味です。そうすることでラストに縛られない、逆算をしない魅力あるドラマが創れるのです。
最後にドラマの冒頭20枚はいかに興味を持たせるかが勝負、登場人物の個性が出ていないとダメと新井一賞のヒントをいただきました。がんばりましょう。