シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。表参道シナリオ日記は、明日19日から23日まで連休とさせていただきます。
この連休は、楽しくないというか、怒りを継続しながらすごす気がします。
賛成とか反対とか以前の問題で、完全に民主主義はぶっ飛び、議会政治を崩壊させた昨日の国会。
あのような強行採決をよしとする方は、どちらの意見を持つ方でもさすがにいらっしゃらないと思います。
ドラマとは対立・葛藤・相克を描くものですが、この国会審議はいいドラマになります。
シナリオを書くにあたっては、いい悪い、好き嫌いはさておいて、賛成も反対もきちんと考え、表現することが枷られます。
そうしなければドラマは面白くなりませんから。
3行ストーリーでいうと例えば、昨日今日のお話をドラマにすると「多くの国民が丁寧な説明を望む中、野党と攻防を重ねながら与党が強硬に採決し勝利するお話し」なんですね。
3行ストーリーだけでみると、「ああ~そうですか」って感じがしませんか。
主役をだれにするかで、視点も変わります。野党側か与党側か、デモに参加している人、若者、老人、子連れのお母さんか、会議の書記か警備員か・・・いろいろ出てきますね。
そこに、様々なシーンが組み合わさって、はじめて、ドラマとして面白くなります。
賛成反対の意見を述べ合うシーンはどうしても必要ですね。公聴会のシーンもあった方がいいかもしれません。
それぞれの意見がどちらも同じ重さだと対立も葛藤も深まります。
党内で話し合う各党の議員たち、密室(?)の閣僚や経済界の人々、国会を取り巻くデモの人々、デモの人たちを入れまいとする山のような警官たち、多くの機動隊の車、雨の中叫ぶデモの人々と濡れるプラカード、ラップで叫ぶ若者たち、こぶしを上げる老人、公聴会に出る民間人の演説、居眠りしている議員の数々、会議場に入れないようにする野党、押し返す与党。憮然として座っている首相と閣僚、乱闘になりながら採決する国会。
シャレードとして、洪水で家を失った方々、災害地で活躍する自衛隊、貧しい食卓を囲む年金生活者とかもいれるのというのもありでしょうか。(笑)
こういうシーンの数々を、キャラクターをしっかり作り、エピソードを積み重ねていく・・・ラストの締めはどんなシーンが良いでしょうね。(笑)
シナリオづくりは、実はとても民主主義にかなったものなのですね。
決して、自分だけの視点で創れないものだからです。
創造することは、想像力・表現力・行動力が必要となります。
自分自身でしっかりと考え、表現することが作家性です。
他人に惑わされずに、多くのことを見聞きし、体験し、ご自分の視点を作ってください。
この視点を持つことが、プロとして活躍する力であり、社会そのものをよくする力にもなるはずです。
「表参道シナリオ日記」は、4日ほどお休みさせていただきますが、みなさま、充実したシルバーウイークをお過ごしください。
どれだけ民主主義が日本に根付いていたのか、国民全体が試されているような気がしています。