シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。今日は125期シナリオ作家養成講座の開講日です。オリエンテーション&入学式になります。
入学式といっても、後半はすぐに授業に入りますので、気は抜けません。
最近は、講座や説明会でも言わずもがなのことを言うようになってしまいました。
政治的に聞こえるかも知れませんが、今の社会情勢は、結構怖いものを感じるからです。
政治学者の丸山真男さんが、日本が先の戦争にどうやって突入していったかについて、「なんとなく、なにものかに押されて、ずるずると」と仰っています。
日本人一人一人が自分の意見を言える姿勢を持つことや環境が大切だと感じます。
創設者の新井一は、自分自身の戦争体験からこの「ズルズル」危惧して、日本中の人のシナリオを書かせたいと思ったのです。
決して「ズルズル」にならないように、日本中の人が想像し、自分の心で想い、自分の頭で考えて、表現してほしいと願って、その思いをシナリオに託しているのです。
どうしても世間は、黒白、右左と決めつけたがります。
人間そのものが長所も短所もどちらもあるのですから、一面だけで決めつけることはおかしいですね。黒でも白でもないときも、いい人になれるときも悪い人になっちゃうときも誰もが持っていることです。その二面性があるからこそ人間的で、実はそれが魅力なのですね。
ずーーっといい人であり続けられたら、それは神様になっちゃいます。つまんない。(笑)
シナリオを書くと、まずドラマは、対立・葛藤・相克ですから、対立側も、こちら側の背景事情を、きちんと作らなければいけません。
それには・・・何度も書いていますので、耳たこですよね。(笑)
対立相手の背景事情を知り、同じ比重の説得内容を持つこと!
シナリオを知れば知るほど、ドラマをわかればわかるほど、人間を描くドラマは人間性を高めるものだと思いに至りました。
他人の話を聴く耳を持てば、想像力も考える力もどんどん広がり、深くなります。
阿川佐和子さんの大ベストセラー「聞く力」をひくまでもなく、聞く力は書く力になることがわかります。
新井一の生誕百年ですから、今日は新井のそんな思いからお話をさせていただきました。
シナリオを書くということ・・・とても深いです。だからこそ、面白い。