シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。創立45周年パーティーが終わってホッとしたのですが、色々な方にお力添えをいただいたので、お礼状をお出ししたり、まだまだ山のようにやることがいっぱいです。
皆さんが「お疲れでしょう」とご心配下さるのですが、身体は歳ですから若干疲れているようですが、気力は満ち満ちて、漲りまくっております。
なにより、たくさんの方にお祝いしていただけたことが、どんなに励みになったことか、続けて来たことは間違えではなかったと思えたことで、どんなに嬉しく気力が漲ってきたことか、本当に本当にありがとうございました。人は褒められて育ちます。(笑)
パーティーの余韻を楽しむ間もなく、次の日から通常授業ですから、結構ハードなんです。
ようやく日曜日は、森治美さんのお芝居の千穐楽に間に合って観劇させていただきました。
お芝居は、軍靴の音が高くなりつつある昭和8年、今の時代とリンクしていることもあり、面白く拝見しました。
ものが言えないあの時代、特高に捕まる左翼青年、お国のために死んでもいいと思う軍人、同じように日本を想っているのになぜ反目しあうのか・・・「人はみんな違う」のだということを、すべての人が実感することの大切さをしみじみ思いました。
パーティーの時に、持ってきてくださった小説家原田ひ香さんの新刊を、ちょっと寒くなってきた秋の夜長に楽しませていただきました。
「ギリギリ」(角川書店刊)
原田ひ香さんの小説は、めちゃめちゃ面白く、ノンストップで一気に読んでしまいました。
5つの章にわかれているのですが、章ごとに登場人物3人のそれぞれの視点に変わります。
シナリオライターの卵で瞳さんの再婚後の夫健ちゃん、健ちゃんの奥さんでキャリアウーマンの瞳さん、瞳さんの元亭主一郎太さんのお母さん、つまり瞳さんの元義母静江さん・・・というちょっと面倒な関係の3人が織りなすちょっと変わった家族の物語です。
このややこしい関係性、設定からして、もうダントツ面白い。
3人3様の気持ちのやさしさやすれ違いが、心のひだに浸み、生きていくって、すごいことなのだと思わせられます。
シナリオ・センターの方には、一般の読者以上に興味が魅かれるでしょう。健ちゃんは、シナリオライターの卵ですから。シナリオコンクールに挑戦しています。現在は、テレ朝とWOWOWに。
その前のコンクールで最終審査に残り、審査したプロデューサーの一人に気に入られ、プロット出しをしています。原田さんの経験が生きていますね。(笑)
そこで、瞳さんの元亭主のお母さんからお聞きした戦争の話がドラマになりかかり・・・、そこからポロポロと色々見えてきます。
ともかく読んでください。
この変わった設定と、3人と亡くなった瞳さんの元亭一郎太さんなどのキャラクターの素晴らしさこそが、このめちゃめちゃ魅力的な小説を生み出しています。
シナリオも同じ。キャラと設定、ストーリーはそれから動いていきます。