しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。
突撃講師インタビュー竹村講師の後編です。
前篇は、シナリオ・センターで学んでいた映画小僧時代のお話をお聞きしました。後編は、講師視点で申込みお話をお伺いしています。
竹村さん、持っている男なんでしょうか?
後編をUPしようと思っていた前日3/17に第9回WOWOWシナリオ大賞が発表になり、ゼミの生徒さんが受賞されました。受賞された生徒さんが、「受賞したことブログに載せるなら、竹村先生のお蔭だって載せてください!」とのことだったので、ここにも載せます。ノッてるね、竹村さん。
ということで、竹村講師の人となりを暴きに行ってきました。全2回の後編です。
コンクール用とか考えずに書いた作品の方が、面白い作品だなって感じることも多いですしね。もちろんメチャクチャだったりすることもあるんだけど…コンクールを目指して、変に「まとめなきゃ」って思っちゃうのかな。 |
新井 | 映画や演劇など、いわば創作する側から教えるって方に変わったキッカケはなんですか? |
竹村 | 大木先生を通して、何年間にわたって講師のお話は頂いていたんですね。けど、お断りしていてね。 |
新井 | シナリオ・センターの講師なんて、やってられっかよ!って? |
竹村 | いやいや(笑) やっぱり、「書き手としてやっていく」気持ちが大きかったから。長編小説を見てもらっていたんだけど、しばらくして大木先生もお亡くなりになられて。 とても慕っていた先生だったし、それに「もう教わることもないんじゃないか」とも思いはじめていたし。 |
新井 | 一区切り、みたいな感じだったんですね。 でも辞められなかった? |
竹村 | やっぱり、シナリオが好きだったし、何よりゼミが楽しかったから辞めたくない。そんなときに講師の話を思い出してね。「一回やってみよう」と。 |
新井 | 生徒と講師では立ち場も違うから、新たな挑戦ですよね。 |
竹村 | スゴい楽しかったですね。 |
新井 | いろんな生徒さん、いろんな作品に触れられるのが楽しいって講師達からよく聞きます。 最初の方は緊張なかったですか? |
竹村 | それが全然緊張しなくて、すんなり出来たんですよ。自分でも不思議なくらい。 |
新井 | へぇ~みんな緊張したってよく耳にしますけど。 |
竹村 | それはありますよね。近いところでずっと、講師の姿を見てきたからね。 「座っている位置が生徒から講師へ変わったな」という感じでしたから。 |
新井 | なるほどなぁ。 |
竹村 | 変わらず楽しめていますね。 ただ難しいのは、思い込みが強い人へのアドバイスです。今でも、どう伝えたら良いのか、試行錯誤していますね。周りの受けとめ方も想像してもらえるようにしていますけど。 |
新井 | 受けとめ方って、人それぞれですもんね。 |
竹村 | そうね。その人の実力や、性格を含めた言葉選びも講師の力量ですから。 |
新井 | やっぱり、昔と違って、「こうやれば、面白くなりそうだな」という感覚とかが自然と刷り込まれているからでしょうね。 ただ、その影響で、どこかで見た事があったりするようなシーンが増えているな、とも感じもするんです。その辺りはどうですか? |
竹村 | 確かに、「なかなか新しいものが出てこない」。それはあるかもしれないです。 コンクール用とか考えずに書いた作品の方が、面白い作品だなって感じることも多いですしね。もちろんメチャクチャだったりすることもあるんだけど…コンクールを目指して、変に「まとめなきゃ」って思っちゃうのかな。 |
新井 | センターの方は、力がついている分、破綻はしないけど「そこそこ」になってしまう。 |
竹村 | そうね。ただ、人それぞれ趣味趣向が違うじゃない? |
新井 | たしかにね~そこは講師の腕の見せ所でもありますね。 やっぱり、僕は「どう伝えるか」が大事だと思うんです。例えば、「褒めて伸ばす」のがシナリオ・センター流ですよね。「褒められてばかりじゃん」って言う人もいるかもしれない。だけど僕は「褒められていないポイントもまだあるんじゃないか」と。そこに気づいて、もっと面白くするにはどうしたら良いのか、そのアドバイスが重要ですよね。それに「けなす」のってスゴく簡単な事ですし。 |
竹村 | 「作品の面白さを見つけて伝える」のが講師の役目ですよね。 だから、特に研修科では「シナリオの基礎技術を踏まえた上で、いかにプラスアルファしてもらえるか」が大事だと思っています。 |
新井 | そうですよね。 |
竹村 | あと「褒める」って、講師がポイントを分かっている必要がありますね。例えば、同じ映画でも、寺山修司、ゴダール、黒澤明、タルコフスキーっていろんな作風があります。 例えば、「タルコフスキー」なんて寝ちゃう人多いと思うんだけど、一方で多くの人が評価する人じゃない。 |
新井 | そうですね。きっと、講師をやるのって、いままでの経験の貯金でやっていくのは大変ですよね。 |
竹村 | そう、どんなに準備しても、自分の理解の範囲外で評価される良さは必ずあるでしょうし。 それでも、出来るだけでも理解しようという姿勢が必要なのかなって思います。今年からライターズバンクを担当して、よりそう思いますね。ゲームアプリ用シナリオのコンペ募集も増えていて、今までのゲームからどんどん変わってきていますから。 |
新井 | 恋愛ゲームでも読物的なものもあったり。 少し前までの「ゲーム」とはまた別物ですよね。ゲーム業界はスゴいスピードで変化していますよね。 |
竹村 | そうそう。「何を面白いと思うのか」、本当に多様になっているのを感じます。 時代の流れを意識しないと「対応できなくなるんじゃないか?」そんな怖さがありますしね。ただ、それを勉強だと思ったら楽しめないし。 |
新井 | やっぱり自分が楽しんでいないと生徒さんにもアドバイスできないですしね。 |
竹村 | そうですね。 今は幸い講師もライターズバンクも楽しむことが出来ています。ただ一つ心配なのはねぇ…。 |
新井 | なんですか? |
竹村 | 体重だけは気をつけなくちゃ、って。 ライターズバンクを担当するようになってから、どんどん増えてきてね(笑)。 |
新井 | そこですか(笑)。 シナリオ・センターの事務側の仕事をしだすと、みんな体重が増えだすという…。七不思議的なものがありますけど。 |
竹村 | そうでしょう? なんて(笑)。 最後にですが、真面目な話、僕はもっとシナリオが身近なもの、「庶民的になっていくと良いなぁ」って思っているんです。「ピアノ」「お茶」のお習い事みたいに、気軽に楽しんでもらえれば良いなぁって。 |
新井 | 単純にお話を考えるって楽しいですからね。 |
竹村 | やっぱりそうですよね。そんなところあんまりないじゃないですか? 自分の書いたものを発表して、それに対して意見がもらえるなんて。生のリアクションからリサーチ出来るし。お互いにモニターをしているような感じもありますからね。 |
新井 | 人それぞれ色んな形で利用できるのが、ゼミ形式の良い所ですから。自分にあったスタイルを見つけて、どんどん活用して欲しいですよね。 |
いままでライターズバンクを担当していた大塚から担当を引き継ぐ竹村さん。
映画のことや今のドラマのことも詳しいので、大塚とはまた違った味のライターズバンクになるかと思います。講師という側面もあるので、いろいろアドバイスをもらえるかもしれませんね。