シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。Yahoo!ニュースニッカンスポーツで、私の話が取り上げられています。
「フジヤングシナリオ大賞から、ヒット作を創れる多くの脚本家が生まれたのに、フジテレビのドラマが低迷しているのは残念」というテーマのニュースだったのですが、たまたま橋田賞の授賞式で記者の方から声をかけられ、インタビューを受けました。
フジヤングシナリオ大賞では、毎回のようにセンターの受講生が受賞され、橋部敦子さん他たくさんの出身ライターを生み出していただきました。
「新人はオリジナルを書いて成長する。月9でオリジナルを書かせていくというヤングシナリオ大賞の趣旨は、新人の成長には大きい」と申し上げたことを取り上げてくださったことは、嬉しかったです。
吉野万理子さんの「ドラマデイズ」(小学館文庫)が文庫版になりました。
この本は、脚本家を目指す方には必ず読んでいただきたい本です。
2007年3月に単行本として出版された時も、同じことを書いた記憶があります。
シナリオコンクールに入選を果たしたアラサーの女性の奮闘記、センターで学ばれている皆さんと同じ立場の主人公の奮戦記だからです。 頑張っているのに、力はあるはずなのに・・・もうダメかもしれない、誰も振り向いてくれないと悩んでいる方々・・・あなただけではないのです。
コンクールに入選しても、すぐにシナリオが書かせてもらえるわけではない。そこから色々色々あります・・・一筋縄ではいかないけれど、でも一歩一歩進むしかないのです。
主人公の茉由子は、ひとつひとつ苦労しながら越えていこうとしています。
それにしても、単行本の出たのは9年前、その時も今も新人の立場は変わっていない?
今回の文庫化では、巻末になんとセンター出身ライター同志の対談がついています。
吉野万理子さんの本音対談のお相手は、「チーム・バチスタ」シリーズ、「家族のカタチ」などの連ドラや「神様のカルテ」「僕だけがいない街」などの映画を書かれている後藤法子さん。
センター同士の対談は、とても面白いです。
後藤さんが、新人の頃を思い出すほどリアルとおっしゃると、脚本家出身の小説家である吉野さんはストーリーの大きいところはフィクションだけれどディテールに行くほど体験に基づいているかもと。
プロデューサーのことばの意味がわからないとか、プロットを頼まれたのにギャラは出ないとか、夕方から明け方まで食事も休憩もなくノンストップの会議とか、直して直した挙句初号が一番良かったといわれる・・・あるある満載。(笑)
でも、結局、みんな通る道だから、辞められない人だけが残っていく。 脚本家になるには、書くことが好きだからこそ、書き続けることしかないのですね。
単行本から9年経って読み直しても、何度読んでも、なおかつ面白い。
吉野さんは、人の心をとてもうまく描く方だと、いつもながら感心してしまいます。
60過ぎた私が、28歳の茉由子の気持ちに同化してしまうほどです。
脚本家目指す方は必読、そうでない方も必読の書です。