シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。ふっと思ったら、あと10日もすれば6月、衣替えです。なんだかなあ・・・もう1年の半分過ぎちゃったと思うと、気持が焦ります。
先日、本科の小山悦子さんから画集をいただきました。
「小山悦子画集 涙は魂との出会い」(芸術新聞社刊)
小山さんは洋画家で、サザンオールスターズのアルバム「Kamakura」のジャケット装画もされています。これがまた素敵なのです。
絵描きさんが、何故シナリオをはじめられたかというと、犬の散歩の途中にシナリオ・センターを見かけたから。(笑) このワンちゃんの可愛かったこと。
芸術家のインスピレーションで入っていただけたのかなあと・・・ちょっと嬉しいです。
小山さんの作品を初めて拝見しました。
この画集だけで、かつ絵画に対する教養などない私ですら、小山さんの心の奥底にあるなにか・・・人間としての強さであったり、悲しみであったり、明るさであったり、苦しみであったり、なんといえばいいのかわからないのですが、そのわからないものが圧倒的な力で押し寄せてくるのを感じました。
芸術というものは、「これ!」という正解があるわけではなく、観る者が感じたものが、たぶんその人が受け取った真実であり何を感じるかなのだと思うのです。
画集の冒頭ページに「旧約聖書の時代から、人と人は戦い続けてきました。
これが人間の宿命なのでしょうか?
生命の星、地球は戦いではじまり、戦いで終わるのでしょか。
人間の救い(salvation)に命を捧げ祈り続けた人がいました。
祈りましょう。ご一緒に!」
と書いていらっしゃいます。
クリスチャンの小山さんは、お書きになる絵の中に常に神が見えていらっしゃるようです。
私は、無神論者ではありますが、小山さんが描かれた被爆した人たちへの想い、震災にあった人々への想い、はかない命や、戦いへのむなしさの中に神なのか人間なのか誰かの存在を感じました。
次回個展を開かれた際は、本物の絵を見せていただきたいなあと思います。
創作というものは、その作り手だけが表すことができるものです。
それは、作り手の生き方から考え方まで様々な個が生み出し得るものだと思っています。
シナリオも絵画も同じではないでしょうか。
新井一は、ストーリーは23通りと言っています。ストーリーの形は、それしかないけれど、そこに介在するキャラクターが千差万別だから(いつも言うように唯一無二の存在だから)、一つとして同じものはありえないのです。
ゼロから構築していく力を持つ=自分自身の創作・・・そのためにシナリオの技術があるのです。