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松田翔太さんの桃太郎、濱田岳さんの金太郎、桐谷健太さんの浦島太郎が、今時の若者らしい超・軽~い会話を繰り広げるauのCM。テレビで観ない日はないですよね。
ちなみに、au=日本の英雄にかけているのみなさん気がつきました?
そのことに最近気がついたシナリオ・センターの川村です。
また、アジアを視野に入れて展開するソフトバンクに対し、差別化を図っているのもわかりますね。シリーズ化がどんどん進み、かぐや姫、乙姫、一寸法師と登場人物も増え続け、さらにパワーアップしています。 >>au公式サイト
こういった桃太郎や浦島太郎という、誰もが知っている昔話の英雄を使ったCMって昔からいっぱいあります。でも、観客に伝えたいことによって、その表現手法は変わってきます。今回は、同じモチーフでもテーマによって作風が違うCMを比較、分析してみます。
auの三太郎シリーズでは、三人が一見何気ない会話をしながら、最後にキーワードとなる「家族割引」や「学割」に結び付けて、そのサービスを紹介します。いわば、駄じゃれとサービスを無理やり結びつけているんですね。
でも、そのばかばかしさから無防備にもつい観てしまう。インパクトのある面白いドラマで観客をひきつけ、結果的に商品やサービスをダイレクトにPRする【商品直接型】のCMです。
一方、2014年からスタートした小栗旬さんが桃太郎を演じるペプシのCM。こちらはauとはまったく違い、セリフもなく音楽と映像でドラマを伝える、アーティスティックな作品です。凝った衣装、インパクトのある巨大な鬼、独特の世界観が話題となりました。最新作ではなんと、ジュード・ロウが鬼役を演じています。
むかしむかしある村に巨大な鬼の一族がやってきて村人たちを襲う。その噂を聞きつけた桃太郎が、イヌとサルとキジを引き連れて、鬼が島へと向かう……。字幕だけが流れ、砂漠を馬に乗って旅をする桃太郎一向。そして最後に「自分より強いやつを倒せ」「FOREVER CHALENG」というコピーが流れます。あきらかに強豪コカ・コーラを意識したCM、さすがペプシです。(笑)
しかし、単に対抗意識を燃やしているのではなく、世界の一流クリエイターを使った、クオリティの高い映像により、企業姿勢をアートとして昇華させています。桃太郎を知らない世界中の人が見ても「なんか、かっこいい」感が伝わります。
説明的なauとは違い、こちらはクールな映像やドラマチックな展開で、観客を物語世界へ連れていき、企業理念を間接的に伝える【理念間接型】のCMです。
ぜひCMを観てください。同じ桃太郎でも全然違うのがわかります。たった15秒のCMにも、伝えたいことをしっかりと届けるための戦略があることがわかります。
でも、それは企業が発信するCMだけでなく、ドラマや映画にも言えること。いかに面白いドラマにして、確実に観客にメッセージを伝えるか……。そういった意味でも、短いCMの中から学ぶべきことはたくさんありますね。
何気なくぼーっと観ているテレビCMも、なぜこの表現なのか?を考えながら観ると、シナリオ作りの視点がぐんと変わると思います。みなさんも、気になるCMがあれば、ぜひ分析してみてくださいね。結構、面白いですよ。シナリオ・センターの川村でした。
★見比べてみよう!
<桃太郎をモチーフとしたCM>
■ソフトバンク https://www.youtube.com/watch?v=ZJ43TPhTk_M
■ハイチュう https://www.youtube.com/watch?v=DWmrtLBnVuQ
■もんげー岡山 https://www.youtube.com/watch?v=6qBH_ovBVQo
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