シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。今日は長崎の原爆記念日です。
昨日の新聞に、長崎原爆資料館で展示されている原爆の悲惨さをこれ以上表す写真もないのでないかというむごい写真「黒焦げの少年」とよばれる少年の身元が、71年経ってやっとわかったという報道がありました。それも昨夏の写真展で大きく引き伸ばされたこの写真を少年の妹さんお2人が見られて「見た瞬間ビビビビッと来たのです。これは兄だ。間違いない」と。
まるで奇跡のようなお話です。ずーっと誰にも知られずに寂しかった少年がやっと落ち着かれたのではないかと・・・思いたい。
原爆の爪痕も戦争の爪痕も71年経とうと決して消えはしないのです。
人が人を殺す、殺されることが人間としての心を壊してしまいます。心の奥底に辛い経験、想いを秘めていらっしゃる方も、病に倒れていらっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。
私たちは常に心していなければならないと、37度越えしている青空をみながら思う8月です。
鷹井伶さんの新刊本が出ました。「番付屋小平太」(徳間文庫刊)
鷹井さんは時代小説をたくさん書かれていますが、どの小説もキャラクターが面白いのですが、廓同心、ご放免同心、犬同心など同心だけでも、まあ変わった職業を主人公にされるのですね。
キャラクターの魅力には、職業というのは大きく関わります。
研修科の課題に、職業ものというのがありますが、まさに魅力づけの一つとして学んでいただくわけです。
この「番付屋小平太」は、タイトル通り番付屋が職業ですが、実は火盗改めの頭の父親を持つ旗本の三男坊なのです。ここも、ミソです。
父親とうまくいかない小平太は、幼馴染の版元に言われて番付屋になります。
番付とは、相撲の番付表を見立てもので、色々なものに大関から前頭まで番付をするというもので、江戸では大流行でした。
このお話は4つの短編になっていて、番付1は大根の番付、番付2は火消の番付、番付3は料理屋番付、番付4は歌舞伎色男番付。
といっても、辛口の江戸っ子を唸らせる小平太の番付は、小平太自身がたださらっとみて作るのではなく、潜り込んで内情を掴んでつくったもの。
そこで、番付される人、番付外の人たちとの交流を深めながら、様々な事件に巻き込まれ、解決していくという人情時代小説です。
面白いキャラクターと各話に溢れるアイデアは、歌舞伎や文楽好きの鷹井さんの本領発揮。それだけに、とても深いお話になっています。さすがです。
是非お読みください。
シナリオ・センターは、明日から夏休みになります。
8月10日(水)から8月16日(火)までの1週間です。
「表参道シナリオ日記」もお休みさせていただきますので、また来週お目にかかりましょう。
夏休みに、色々な経験、本やDVD等の出会いを番付してみていはいかがでしょう。 私は・・・っていうと、猛暑ですからね、はると一緒に寝て過ごすことにします。(笑)