menu

脚本家を養成する
シナリオ・センターの
オンラインマガジン

シナリオ・センター

代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

絵本から広がる想像力

シナリオ・センター代表の小林です。台風で本日、授業は休講。シナリオS1グランプリの締切も本日でしたが、明日まで1日延期しました。 自然の前では、人間は無力ですね。
センターの事務局は、一人も欠けずに出社で、無理しなくていいよといっても、10時からなのに、8時過ぎには出社している者まで・・・本当に頭が下がる、ありがたいスタッフばかりで、私は恵まれているとしみじみ思います。

20160822d

土曜日に、絵本編集者の末盛千枝子さんのインタビューが新聞に載っていて、とても感動しました。末盛さんは、「あさOne morning」でボローニャ国際児童図書展グランプリを初め色々な賞を獲られ、皇后さまが英訳されたまどみちおさんの「どうぶつたち」という詩や、皇后様のご講演をまとめられた「橋をかける 子供時代の読書の思い出」なども手掛けていらっしゃいます。
今は岩手に移住されて、「3・11絵本プロジェクト岩手」を立ち上げ、被災した子供たちに絵本を届ける運動をされていらっしゃる方です。

末盛さんはインタビューで、「悲しみは経験した人にしかわかりません。でも、『大変だったろうな』と思い続けたい。
谷川俊太郎さんが文を長新太さんが絵を描いた『わたし』という絵本があります。
一人の少女が男の子からみたら女の子、赤ちゃんからみたらお姉ちゃん、先生からみたら生徒、お店屋さんからみたらお客さんという具合に、他者と関わりながら生きていることに、気づかせてくれます。
人が死ぬことは、そうした他者とのすべての関係が断ち切られるということ。絵本には想像力を引き出す力があるのです」

「私たちが共通して突きつけられている課題は、自分と少し違う人たちとどのように暮らしていくか、ということですから。
一直線に平和で結びつかなくても、個人の行動と伝わる言葉が力になると信じたい。
平和を願って生きていくためには、想像力を働かせることが大切だと思います」

他者とのかかわりに気づくこと、シナリオ作りの精神と同じですが、それはすべての「生きる」ということに繋がっているのですね。
どれだけ「想像力」をもつか、人としての生き方に関わっているのではないでしょうか。
よく説明会などで「本を読んだことがないのですがシナリオは書けますか」とご質問いただくことがあります。
もちろん書けますが、描く世界を広くするためにも本は読んでいただきたいと思います。
もし、読書は・・・と思われるなら、絵本から読まれてはいかがでしょう。
最近、中高年に絵本ブームが起きているそうです。
私自身、絵本は確かに自分の原点になっている気がします。
もう一度、大人だからこそ絵本を読んでみる、忘れかけている想像の翼を広げてみるというのはすてきなことだと思います。
先日読ませていただいた出身作家柚木麻子さんの「本屋さんのダイアナ」も、絵本から得た友情のお話で、絵本が心のよりどころとして描かれていました。
20160822b

皇后さまは、国際児童図書評議会の講演の中で、「子供時代の読書から根っこと翼を得たとお話しされ、新美南吉さんの「でんでんむしのかなしみ」を紹介されたそうです。

「でんでんむしのかなしみ」は、「あるでんでんむしが、自分の殻に悲しみが詰まっていることに気づき、悲しくなって相談に行くとみんな自分の殻にも悲しみが詰まっていると答える。悲しみは誰でもが持っているものだと知り、嘆くのをやめた。」というお話です。

朝ドラ「花子とアン」でも、想像の翼を広げなくてはというお話がありましたが、マスコミもネットもものを言えない時代になってしまった昨今、子供だけでなく、大人だからこそ想像力を大切にして、他者への思いやりを育てていきたいものです。

過去記事一覧

  • 表参道シナリオ日記
  • シナリオTIPS
  • 開講のお知らせ
  • 日本中にシナリオを!
  • 背のびしてしゃれおつ