シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。土曜日は、大阪校の説明会でした。台風で雨模様とか言われていましたが、究極の晴れ女はまたしてもピーカンの土日を過ごしました。九州、東北へお伺いした方がいいでしょうか。
大阪校は40周年迎え、11月6日に『上方♡わが町ショートシネマフェステバル』を中之島中央公会堂で行います。
そのために、昨日も、受講生の方々もスタッフ講師もなんだかワサワサ、やけに忙しそうだけれど楽しそうに動いています。お祭り女の私は、そんな様子を見ているだけで気分はワクワクします。
上方のみなさん、是非足を運んでくださいね。
当日は、大先輩のジェームス三木さんの講演もあります。
金曜日に大山さんにいただいた著書「あずかりやさん 桐島君の青春」、大阪への行き帰りで読ませていただきました。
大山淳子さん著「あずかりやさん 桐島君の青春」(ポプラ社刊)
この本は「あずかりやさん」の続編で第2弾です。
新幹線の中で読ませていただきながら、ずーーーっと癒されていました。
大山さんは、本当にやさしい人です。他人の痛みをちゃんと感じられる人です。
もちろん個人的にも存じ上げていますが、この本を読んで、改めてしみじみ感じました。
プロローグの中に「中一の時からぼくの中には常にあずかりやさんがありました。『困ったときはそこに行こう』となぜだか思っていました。(略)他人のものを受け入れ、預かってくれる場所がある。そのことが心に余裕のようなものをくれていたような気がします。」とあります。
あずかりやさんは、そういうところです。
文机のお話「あくりゅうのブン」、転校生のお話「青い鉛筆」、オリゴールのお話「夢見心地」、店主桐島君の青春、そして預かり屋さんの秘密が描かれている「海を見に行く」と、預けに来た人の、預けられた品物の心が丁寧に描かれています。
そのひとつひとつのエピソードが、硬くなった心の襞をほぐすように暖かいのです。
預かり屋さんの店主桐島君は、盲目の男性。なぜ「あずかりや・さとう」を営んでいるのか、その秘密に暖かさはあるのですが、この桐島君の持つなんともいえない暖かさこそ、大山淳子さんご自身がお持ちになっているものだと思うのです。
説明会で緊張した身体も心も、本当に気持ちよくほぐしてくれました。やさしい気持ちになれるのです。
私の街にも「あずかりやさん」が欲しいです。続々編も書いて欲しいです。
創作には、必ず作者自身が出てしまいます。出るといっても主役になるとかではありません。創作作品の醸し出す雰囲気にでてくるのです。
創作する者の視点、作家の目が大事だというのは、そういうことなのですね。