子どもからお年寄りまで、すべての人にシナリオの力を!
あなたの毎日に役立つシナリオの活用例がここにあります。
はじめまして、事務局の齋藤です。
大学生だった2006年頃、シナリオ・センターでアルバイトをしており、縁あって、鮭のように、戻っ て参りました。
10年前にはなかったもの――。
その1つが2010年から始動している「1億人のシナリオ。」プロジェクトです。
同プロジェクトでは、小学校から大学、企業、公共施設などで、シナリオをツールにした「想像力・創造力」を豊かにするための講座を実施しています。
先日、2日間にわたって、住宅メーカー・リフォーム部門の若手営業担当者を対象に、2016年度シナリオ営業研修を実施。新人として見学 してきました。
このスキルアップ研修は、大手企業の営業スキル養成に40年以上貢献してきた日本流通研究所の佐々木一輔氏とともに、シナリオ・セン ターの新井一樹が共同開発しました。今回は、折衝におけるコミュニケーション力をより強化するため、シナリオの発想と技術を学び、 会話力の向上やお客様の気持ちを誘導するスキルを習得していきます。
一見すると、営業活動とシナリオは接点がないように見えますよね。でも、どちらも「会話=セリフ」で成り立っています。これは大きな共通点です。ただ、営業トークでは、商品に対する自信があるがゆえに、商品説明が多くなりがちです。
勿論、説明することは大切ですが、お客様に あった提案をするためには、お客様が何を必要としているのか、もしくは、何が必要なのか、といったお客様の背景と事情を引き出すこ とから始めなければなりません。
そこで陥りやすいのが、背景や事情を引き出そうと沢山質問してしまうことです。特に、質問に対する応えが予想外の場合、言葉に詰ま り、一瞬間があいてしまうと焦ります。
そして、なんとかこの状況を打開しようと、別の質問をしてしまい、その質問もあまり響かな いとなると、さらに別の質問をしてしまう…。
「ガーデニングはお好きですか?」
「ちなみに、お風呂場の段差は気になりませんか?」
「じゃあ、キッチンにご不便はありませんか? 」
「~か?」「~か?」「~か?」……。
聞く側にとっては欲しい情報を簡単に知ることができますが、聞かれる側にとってはまるで 尋問です。
また、沢山質問をしたわりには、話題があちらこちらに飛んでしまうため、いろいろ聞いたものの、お客様の事情や背景がぼ んやりとしかイメージできないのです。
このような、予め想定した答えを言わせるための問いかけを、シナリオでは英会話セリフといいます。英会話セリフの連発を防ぐために は、感情セリフを広げていきます。感情セリフとは人物の感情が表れるセリフのことです。
営業の場でいうと、例えば「ここが大変なの よねぇ」といった、お客様が何を考え、どう感じているのかが分かる言葉です。そういった感情セリフを拾って、「どういった点が大変な んですか?」と、ストーリーを展開させるための展開セリフを使えば、お客様の背景・事情をスムーズに確認できます。
加えて、この研修では、共感的パフォーマンスについても触れます。会話が盛り上がると、どういう状況になりますか? はっきりとしたイメージがお互いの頭の中に浮かびますよね。
イメージを共有するためには質問をしなければいけないわけですが、だん だんと相手の状況が分かってくると、「うんうん!」と頷いてみたり、「なるほど!」と驚いたり、もっと深く知りたいので相手の言葉 をそのままオウム返ししたりしていませんか?営業活動においても、このように共感することで、お客様はいろいろと話してくださいます。
結果、自然と話が広がり、お客様の背景・ 事情を把握できるのです。
研修後、営業担当者の方々からは、「お客様のヒアリング不足で悩んでいたので、こういった技術を直接教えて頂けて参考になりました」「思い返してみると、契約に繋がったお客様には背景・事情を沢山聞き取れていたことに改めて気づきました。今後はここに重点を置きたいと思います!」といった感想を頂きました。
シナリオのノウハウは、営業活動においても使うことができます。シナリオの発想と技術を駆使すれば、お客様とより良い関係を築いて いただくことができます。シナリオとは直接関係がないようなことが、実は強く結びついているのです。
これこそが「1億人のシナリオ。」プ ロジェクトの醍醐味!――と感じました。