シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。センターの前のカフェは、時々イベント会場になるのですが、必ずセンターの正面入り口の車寄せに人がたむろします。狭い道路なので敷地内に入ってしまっても仕方がないことと、うちに関係ない配送の方などにも声をかけていただければ、車を置くことだって厭わず受け入れています。
でも、断りもなく、センターの敷地の中に当たり前のようにづかづか入ってこられると、さすがのやさしい事務局もムカッとします。(笑)
責任者の方が「ちょっと人がたてこんでご迷惑をおかけします」と一言ご挨拶くだされば、こちらも「わかりました。どうぞ」と円滑にすむことだと思うのですが、一度もご挨拶をいただいたことがなく、残念な気持ちになります。
すべては、コミュニケーションが大事ですよね。
今日・明日は、シャンプーのイベントでごったがえしています。
受講生の皆さんにはご迷惑をおかけします。
出身の小説家原田ひ香さんの新刊がでました。
原田ひ香さんは、純文学のすばる文学賞を受賞されて、デビューされました。ですが、シナリオを書いていらしたせいでしょうか。原田さんの小説は、深いけれど面白い。面白いだけでなく深いのです。
純文学にエンタテイメント性をとりこんだというか、新しい形の純文学(私の感じ方ですが)を確立されたのではないかと思います。
最近、ご紹介させていただいた「虫たち家」もそうですが、常に高い評価を得ています。
「東京ロンダリング 失踪・com」(集英社刊)
ロンダリング、不動産の事故物件に移り住み、部屋を浄化し、ロンダリングしていく仕事のお話です。
2011年「東京ロンダリング」を読ませていただいたときの衝撃は忘れられません。事故物件は、事故の間に1人住めば、事故物件だということを説明する義務がなくなるのだそうです。
前作の「東京ロンダリング」は、離婚して戻る家のない主人公のりさこが、孤独で無気力な日々を過ごしていたのですが、都内の事故物件を転々とする仕事をしながら住む先々で出会う人々によって変わっていく人生再生物語でした。
事故物件に住むという特殊な状況の話しでありながら、心温まる、心が素直に開いていくとても素敵なお話で、これを読ませていただいた5年前、編集長の前田も同じことを言っていましたが、その斬新な切り口に感動したものでした。
「東京ロンダリング 失踪・com」は、前回の主人公りさこさんや他の登場人物もでてきますし、舞台も同じ相場不動産なのですが、今作は人間ドラマ+サスペンス+企業もの的というか、前作以上に大きな観点でロンダリングを描いています。
読みだすと止まらないのは、今作も同じで、緻密な構成とキャラクターの濃さは、原田ひ香さんならではのすごさです。
この「失踪・com」だけでも楽しんでいただけますが、前作の「東京ロンダリング」も併せて読まれると作家原田ひ香さんの魅力を感じて、原田ファンになること請け合いです。
ご一読をお勧めします。