シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。今週はPCに向いっぱなしの私としては、朝から肩こり解消にコンディショニングのトレーニングをしてきました。鍛えるではなく整えるというのがコンディショニングなので、体調万全に・・・。他力本願から最近は自浄努力をしている私です。(笑)
神も仏にも信仰心の薄い日本人ですが、とはいえ伊勢神宮、出雲大社、金毘羅権現など神社ツアーは、昨今も大人気です。その中でも、「お伊勢さん」伊勢神宮ツアーは一番人気。私も一昨年でしたか。おかげ年に娘と参拝しました。
江戸の昔も、お伊勢さんへ一生に一度いくことが庶民の夢でした。
とくに、60年に一度、遷宮があった翌年はおかげ参りという風習があり、たいへん御利益があるというので大賑わい。
しかも、おかげ参りの年は、奉公人などが黙って抜け出していってもおとがめがないいうことで、こぞって伊勢へ。おかげ参りは、抜け参りとも言われました。
そんなおかげ参りが舞台です。
ただいま前作超えで、超ヒットの「超高速!参勤交代リターンズ」の土橋章宏さんは、脚本だけでなく小説も大人気ですが、おかげ参りが舞台の小説を書かれました。
「駄犬道中おかげ参り」(小学館刊)
博徒の辰五郎は、深川の賭場で大借金を負い、逃げようと思っていたら、お伊勢講のくじにあたって長屋代表として伊勢参りへ行くことに。
これ幸いと出かけた辰五郎、途中であった代参犬の翁丸、奉公を抜け出してきた少年三吉、死のうとしていた訳ありの美女沙夜を助けて、ひょんなことから家族のふりをしながら、お伊勢参りにいくことになります。
そして・・・江戸から伊勢までの30の宿場で様々な事件や出来事にぶつかりながら珍道中を繰り広げます。弥次喜多ならぬ駄犬道中。
この出てくる登場人物のキャラクターが一癖もふた癖もあり、まあ面白い。
博徒ながら気のいい物知り辰五郎、親に売られたちょっと生意気ながら姉想いの三吉、姑にいびり出された陰のある美女沙夜、大食らいの食いしん坊紀州犬翁丸、その濃いキャラが、宿場宿場で名物グルメを食べながら、事件を起こしたり、巻き込まれたりしながら、気持に変化が訪れます。
さすが、土橋さん。話の面白さはもとより宿場宿場でグルメ紹介までしてしまう巧みさ、人間だけでなく、犬を準主役にしたのも上手い。でも、この犬、案外曲者で、いろいろやってくれるのかと思うと肩透かしを食わせるんですけれどね。(笑)犬好きの私としては代参犬翁丸が、ちっとも優秀な犬でないところもすごくかわいい。
まあ、ともかく涙あり笑いあり、エンタテイメントの極み、ワクワクさせてくれる本です。
一緒にお伊勢さんに歩いて行った気になります。お楽しみあれ!