シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。爽やかな本日です。穏やかに爽やかに過ごせる日々が続いて欲しいと思います。
ただ平穏な生活を望んでいるだけなのに、日本中あちらこちらにそれもできない方々がたくさんいらっしゃいます。
昨日、お誕生日を迎えられた皇后さまが「決して孤独の中に取り残したり、置き去りにすることのない社会を作っていかなければ」とメッセージを出されました。
今の不寛容な弱者切捨ての独裁的日本への警鐘のように思います。上に立つ人こそ重く受け止めてほしいものです。
今行われている戯曲講座で、10/24・11/7の2回、受講生の作品を演じてくださる俳優さんの舞台を担当講師の金子と観に行ってきました。 23日まで青年座劇場で上演しています。
「人類最初のキス」 韓国のコ・ヨノクさんの戯曲です。
韓国の刑務所のお話で、「人類最初のキス」という題名から想像もつかない内容のおもーーーーいお話しでした。(笑)
韓国の地の果てにある刑務所、釈放を夢見る4人の囚人たち。 心理学者、判事、精神科医、弁護士、検事、看守・・・ぞれぞれの心の闇を抱えながら、囚人たちの夢を打ち砕いていきます。 差別、偏見、信念、正義・・・そのすべてが人さまざま。憎しみや争いがなくならない現実がここにありました。
今回戯曲講座で演じてくださる五十嵐明さんは、妻と娘との生活にもどる夢を打ち砕かれ気が狂い食糞を続ける囚人を、久留飛雄己さんは、自説に囚われ生きている人間を見ていない心理学者を演じ、人間の不条理をよく表現されていました。
登場人物の誰にシンパシーを感じるか、観客としてこの芝居のみどころです。
重いお話ですが、正義は一つではないこと、差別や偏見にとらわれずに人を見ることができないこと、人が人を裁く怖さ・・・韓国刑務所のお話ですが、実は、すべての社会を表しているお芝居でした。 想像力がいかに大事かということをひしひしと感じます。
全ての人が違う、誰一人同じ人はいない世界で、誰とも同じ想い、考えはありえないことだということをしっかりとわかっていることが大事だと思っています。
自分と違う考えを持つ人を非難することは簡単だけれど、自分と違う考えを理解しようとするのはとても難しいですよね。
でも、人としてもシナリオライターとしても、理解できないで終わらせてはいけないと思います。
人間を描くこと、言葉では言い表せないほど深いですね。