シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。今日は、相続対策の講座に行ってきました。相続でもめているわけでなく、相続するものもさせるものもない私ですが、これはお仕事。シナリオで相続の争族をなくす方法を考えてくれというお話をいただいたためです。まったく関係ないと思ってスルーしていたのですが、なかなか面白いものでした。なんでも、知っておいて損はないですね。
一昨日、戯曲講座で受講生の作品を、青年座の役者さんが演じてくれました。
青年座さんで選んでくださった10編のうち、今回は5編を、まずシナリオ通り、ト書も読んでいただいて、演じていただきました。
演じた後、役者さんから作者へ質問をもらいます。
この質問がすごい。いわば立ち稽古に入る前の本読みに近いかんじでの役者さんからの質問です。
「このセリフはどこのセリフにかかるのか」「書き言葉だけれど、あえてしているのか、話し言葉にしていいのか」「途中で言葉使いが変わったが意味があるのか」「<てにをは>は、これで正しいのか」「この人物のキャラクターはこれでいいのか」等など。
言葉がどこにかかるかで、セリフの意味が変わってきます。 言葉遣いが変わるということはキャラクターが変わる、または意味があるということです。
<てにをは>が違うと、文章の意味が全くかわります。 人物のキャラクターができていないと、セリフもいえません。
役者さんは、セリフのひとつひとつ、ト書の一行一行の中に意味を見い出して、役作りをしています。
例えば、今まで「いるのよ」と言っていた人物が「いますもの」と言うと、役者さんは「ますもの」という表現に変わった意味を考えられるのです。 作者が何気なく書いたセリフ、ト書を、役者さんはセリフの一言、ト書の1行から、自分の役の意味を探るのです。
今回読んでいただいたことで、いかに細かな描写、セリフを書き飛ばしているのか(意識はしてないとは思いますが)ということを受講生の皆さんは感じられたかと思います。
一字一句に役者さんは意味を感じているのだということをわかると、一字一句に気をつけて書かなければと思います。
今回は、色々役者さんが作者に疑問に思ったことなどを質問され、作者が答えた後、もう一度演じていただきました。
作者の意図、キャラクター設定、<てにをは>の確認、言葉の意味を知って、前と違ったお芝居になりました。
こうしたことを実感できたという素晴らしい時間を戯曲講座の受講生の方々が持てたことは、とても幸せなことだと思いました。
俳優の五十嵐明さん、山本与志恵さん、安藤瞳さん、久留飛雄己さん、制作の川上英四郎さん、森社長、青年座の皆様ありがとうございました。
実際に演じてもらうと、いかにディテールが大事か、せりふのひとつひとつ、ト書1行1行に、神経を張り巡らして書いたシナリオでないといけないのだとことを受講生の皆さんはわかっていただけたことと思います。
私自身そばで拝見していて、これはシナリオを書く皆さんと共有したいと思いました。
そこで、11/7にも、青年座の皆様に戯曲講座の受講生の作品を演じていただきますので、突然ですが、皆さんにも感じていただいたらいいかなあと思い、聴講をしていただけるようにしました。
聴講したい方、事務局へお申し出ください。これに参加したら、絶対にご自分のシナリオが変わりますよ。聴講料4000円です。
この戯曲講座で演じてくださった山本与志恵さん、安藤瞳さん、久留飛雄己さんが出演する舞台「砂漠のクリスマス」12/16~24青年座劇場で上演されます。こちらも見てください。