子どもからお年寄りまで、すべての人にシナリオの力を!
あなたの毎日に役立つシナリオの活用例がここにあります。
【「1億人のシナリオ。」プロジェクト/齋藤リポート】
朝日新聞販売会社の㈱エヌ・アイ・エスさんが主催する「シナリオライター体験教室」に田中が講師として担当させて頂き、わたくし齋藤もアシスタントとして参加させて頂きました。
参加してくれたのは、小学3年生から中学1年生までの子どもたちです。
冒頭、感想文や作文を書くのは好きですか?と聞いてみると、「文章を書くのは苦手です…」とみんな俯き加減。
私も、感想文をどう書けばいいか分からず、泣いた思い出があります…。
文章を書くのは難しいですよね。
文章を書くことに苦手意識がある子どもたちが、シナリオを書けるようになるにはどうしたらいいでしょうか。
その答えを子どもたちの姿を見て発見しました。
シナリオを書けるようになるには…
キャラクターを具体的な言葉で言えるまでイメージすること
そう思ったのは、一番最初に行った「キャラクター連想ゲーム」から、一番最後に行った「シナリオ作成」に至るまでの、みんなの変化を目の当たりにしたからです。
キャラクター連想ゲームは、こちらがお題として出した人物の名前から、どんな「先生」なのかを考えていきます。
お題に出した人名から、
■何歳だと思う?
■担当の教科は?
■服装は?
■苦手なものは?
■性格は?
――と聞きます。
どの子どもたちも、最初にでてくるワードは
・上品な服装
・派手な感じ
・静かな性格
・怖い性格
――と抽象的なのですが、「具体的になどんな色?」「どんな感じ?」と聞いていくと、
・淡いブルーのブラウス
・蛍光色のジャージ
・自分の教科だと熱血に話すが、それ以外は無口
・普段は優しいが怒ると怖い性格
――とどんどん具体的な言葉に変換されていきました。
こうした発想の練習を色々と行った後、子どもたちには実際にシナリオを書いてもらいます。
登場人物の名前は予め決まっていて、それぞれのキャラクターを設定してから、シナリオ作成に入ります。
最後はチームに分かれ、代表して1作品ずつ発表してもらいました。
特に驚いたのがある女の子の作品。
登場人物は3人全員が赤ちゃん。
でも、キャラクターがしっかり設定されています。
登場人物の中には、「おっちょこちょいで忘れっぽい性格」の男の子の赤ちゃんがいます。
その男の子の赤ちゃんの靴が脱げてしまうのですが、そのまま帰ろうとします。
そこで、しっかりものの女の子の赤ちゃんに「靴、忘れてるよ!」と突っ込まれます。
「おっちょこちょいで忘れっぽい性格」という具体的なキャラクターを設定したので、「靴が脱げてしまい、靴を忘れる」というシーンを書くことができています!
このシーンを聞いた周りの大人たちからは「おぉ!」という感嘆の声が漏れました。
文章を書くのが苦手だと俯いていた女の子が、キャラクターを具体的な言葉で言えるまでイメージしただけで、具体的にシーンを書くことができるようになりました。
凄くありませんか?
この変化を見て、もう一つ思ったことがあります。
登場人物のキャラクターを具体的に作り、シーンも具体的に作ることで、自然と、登場人物の立場になってセリフや行動を考えられるようになったのではないでしょうか。
登場人物の立場になって考えるこのチカラは、日常生活に置き換えると、相手の立場になって考えることに繋がります。
このチカラは、例えば、
・友達が困っているとき、どんな言葉をかけてあげればいいか
・新聞を読んでそこに書かれた事件を見て、事件の被害者・加害者はどんなことを思っているのか
といったことを考えるとき、役立つのではないでしょうか。
キャラクターを具体的な言葉で言えるまでイメージすると、具体的にシーンを書くことができて、シナリオを楽しく書くことができます。
そして、こうやってシナリオを書くことで、ひいては、相手の立場になって考えるチカラに繋がっていく。
シナリオの技術や発想はドラマシナリオ以外にも日常生活のあらゆる場面で役立てることができるんだなぁ。
子どもたちの変化を見て、そう実感した1日でした!