シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。金曜日は代休をいただき、おばさん6人で軽井沢に行ってきました。高校時代の友人で、50年近く付き合っているおばさんたちですから、言いたい放題やりたい放題の集まりなんですが、お互いに干渉すべきところ、しないところの線引きを心得ていて、一触即発、阿吽の呼吸で楽しんできました。(笑)
今日は、シナリオS1グランプリの授賞式です。受賞者の皆さんおめでとうございます。
月刊シナリオ教室12月号に掲載されていますので、皆さん読んでください。力作ぞろいです。
シナリオ・センターで一番大事にしていることは、シーンを描くことですが、切り口も大事です。
先日、古舘伊知郎さんの史実に忠実な「忠臣蔵」の実況中継という再現ドラマの番組があり、「こういう視点もありか」と感心いたしました。
史実的に見るとずいぶん違う、こうした切り口は今までなかっただけに、「武士の家計簿」を書かれた歴史学者磯田道史さんの補足もよくわかり、納得で面白く拝見しました。
あの有名な松の廊下で、もし刀傷沙汰で終わらず、吉良上野介を殺していれば、討ち入りもなかったというお話や、赤穂浪士の討ち入りも仇討のために罪のない人を殺しているのだというコメントも印象的でした。
見方ひとつで様々な想いや考え方ができるというよい例題だと思いました。
「忠臣蔵」は色々な形で、映画、ドラマや歌舞伎などでも創られていますが、それぞれの切り口、視点が違います。
300人の赤穂藩藩士の中の47人であり、47士にならなかった人々にもドラマがあり、47人の討ち入りまでの2年間にまたそれぞれのドラマがあり、残された女性たちのドラマがあり、もちろん吉良側のドラマもあり、討ち入りを政治に使う幕府の思惑もあり・・・。
現在、NHKBSプレミアムでも、出身ライターの吉田紀子さんが、これまた全く違う切り口で「忠臣蔵の恋」。
48人目の忠臣磯貝十郎衛門を慕うきよの物語です。
どちらにも正義はなく、なにごとにも正解はないということを、この「忠臣蔵」実況中継をみながら思いました。
常に、自分が正解だ、正義だと思っている方向と違う方向を観る癖をつけていくと、視点は広がっていきます。
どちらの気持ちや考え方も同じようにわかっていること、なによりも創作者として大切な目だと思います。
シナリオS1グランプリは、独自の切り口と魅力あるシーンが描かれているかを主体に審査しています。
なぜならプロに必要なものは、この2つのことだけだからです。
みなさんが、来年目指して頑張ってほしいと願っております。