シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。2月が終わります。明日から当たり前だけれど3月。3月は別れと出会いの季節ですね。卒業、転勤、引っ越し等変化が一番多い時期です。変化はドラマの肝。様々な変化を見つめていきたいです。
元ライターズバンク担当だった大塚から、大阪で倉本聰さんのお芝居「走る」をみて、涙ボロボロ、感動しまくったという話を聴いて、2月初めに放映されたNHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~倉本聰さん」の録画を改めて見直してみました。
大塚はどちらかというと感動しやすいタイプなので、信用していないところもあるのですが(笑)、私も「走る」の舞台稽古を番組の中で拝見していたので、もう一度大塚を感動させたツボを確認してみたいと思ったのです。
シナリオ・センターで、口酸っぱく申し上げていることと同じことを倉本さんは仰っているのですが、82歳になられた倉本さんの言葉できくと感動的に迫まってきます。
倉本さんが、脚本を描く前に半年以上かけて作るのが「登場人物の緻密な履歴書」
「ドラマ1本を木に例えると、登場人物という根っこがあり、そこから人物同志が織りなす物語という枝葉が生まれる。今のドラマは実をいかに美しくつけようか、花をどう咲かせようかに気を取られて肝心の根っこのことを忘れてしまっている」とおっしゃっており、倉本さんは、父母の出身地から恋愛遍歴、実家周辺の地図等ドラマには描かれない部分まで詳細に掘り下げていらっしゃいます。
なるほどと思いました。腑に落ちました。そんな登場人物が背景・事情を背負って走るからこそ、感動をよんだのだと思います。
そんな創り方を、丁寧に作ってきたからこそドラマが光を放っていた時期があります。
キャラクターこそが一番大事!いつもいつも申し上げています。
もう一度、ドラマが輝いていた、そんな時代を作りあげた脚本を読んでみてはいかがでしょう。
国立国会図書館で公開中の脚本27000冊のうち300冊がデジタル化されました。
脚本アーカイブス・シンポジウム2017が3月9日、早稲田大学小野記念館で開催されます。
第一部トークショー「夏目漱石の妻」などを書かれている脚本家池端俊策さんが映像と脚本を対比しながら舞台裏を語ってくれます。聴き手 岡室美奈子(早稲田大学演劇博物館館長)
第二部 パネルディスカッション「デジタル脚本と映像アーカイブの可能性」
1980年以前の映像が少ないのが現状を打破するために、個人的に遺されているフィルムをどう保存していくのか、これからの活動と共脚本・映像のアーカイブの可能性を討論します。
パネラー 今野勉(演出家・放送人の会会長)・福井健策(弁護士)・高野明彦(国立情報学研究所教授)・丹羽美之(東京大学大学院准教授)・司会吉見俊哉(東京大学大学院教授)
予約 http://www.nkac.jp/ FAX 03-5210-7021
脚本家を目指すものは、過去の貴重な脚本、映像を知ることも大事です。
山田太一さんの「想い出づくり」「早春スケッチブック」「男たちの旅路」は、シナリオ・センターでも販売しています。